小規模企業者が使える東京都の設備投資助成金

本助成金の正式名称は「革新的事業展開設備投資支援事業」です。小規模企業者は最大3,000万円(助成率2/3)の設備投資助成金を獲得できます。助成率が1/2の場合、最大1億円の獲得も可能です。

目次
1.助成の対象は競争力強化のための最新機械設備の購入経費です。

2.助成対象の機械設備は東京都以外の場所でも設置可能です。

3.同一テーマ、同一機械設備等でも他の補助金と併願できます。

4.まとめ

1.助成の対象は競争力強化のための最新機械設備の購入経費です。

 中小企業振興公社が窓口になって推進している革新的事業展開設備投資支援事業は、中小企業等が最新設備を導入したいが、投資の予算を確保するのが難しい場合等で活用できる助成事業です。この助成事業は小規模企業者(常用従業員数が製造業その他は20人以下、商業・サービス業は5人以下)の設備投資にも活用でき、採択された場合、競争力強化のための最新設備の購入経費の一部が助成されます。この競争力強化の事業例として、「製品、技術の品質向上、信頼性確保」、「特殊素材、難加工、複雑形状への対応」「自動化・省人化」「一貫加工の実現」「短納期への対応」「コストダウン」「不良率削減」「増産要請への対応」「環境対応、法整備対応による取引拡大」「生産ラインの最適化・見える化」「24時間稼働、異常・故障等遠隔監視」「単純作業、過酷労働の代替」等が挙げられています。また、機械設備は1基100万円(税抜き)以上であることが求められます。

 小規模企業者が最新設備を導入してこれらの競争力強化事業を実現するために、最新設備の導入費用を確保する手段としてこの助成金を使ってはいかがでしょうか?

2.助成対象の機械設備は東京都以外の場所でも設置可能です。

 東京の革新的事業展開設備投資支援事業の補助金を受ける場合に、小規模企業者が設備を置く場所は地価の高い東京に限られるのでしょうか?
この補助金を受けて設備を設置する場所は東京都内または、東京以外の首都圏であれば設備を設置することが認められています。以下に設備設置の条件の概要を示します。

(1) 東京都内に設置する場合

東京都内に登記簿上の本店または支店があり、設置場所が環境条例に定められた工場設置認可・認定をうけていることが求められます。

(2) 東京以外の首都圏に設置する場合

東京都内に登記簿上の本店があれば、設置場所は神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県、山梨県も補助金の対象となります。この場合は設置場所が県または政令指定都市が定める環境保全等に関する条例による特定施設の各種届出がなされ、認可・認定をうけていることが条件になります。

上記の(1)(2)のいずれも、助成対象事業者は都内で実質的に事業をおこなっており、東京都内事業所で継続的に2年以上事業をおこなっていることが条件になります。

最新設備を設置する工場の立地については、首都圏であれば自由に選ぶことができ、地価の低いエリアを選ぶことができ、小規模企業者にとっても取り組みやすい内容になっています。

3.同一テーマ、同一機械設備等でも他の補助金と併願できます。

 本助成事業は他機関の補助金・助成金(ものづくり補助金等)と同一テーマ、同一機械設備等で助成対象物は同じでも併願することができます。

 本助成事業では2次審査で面接が行われるなど、厳しい競争となる可能性があり、不採択に備え、ものづくり補助金等との併願によって不採択の場合のリスクを緩和する対策も可能になります。併願についての条件の概略は以下のとおりです。

(1) 本助成が確定事業の同一回の申請は、一企業一申請に限ること
(2) 本革新事業展開設備投資支援事業の採択案件が、基準日現在で確定していること

*「確定していること」とは、採択されている(交付決定通知書)ことではなく、「助成額の確定通知書をうけていること」が必要です。

(3) 同一テーマ、同一内容、同一機械設備で公社が実施する他の助成事業に併願申請していないこと
(4) 同一テーマ、同一内容、同一機械設備で公社・国・都道府県・区市町村等から助成を受けていないこと

 これにより、本事業を実施している公益財団法人 東京都中小企業振興公社の実施する他の助成事業と同一テーマあるいは同一機械設備での申請を併願することはできません。また、同一テーマまたは同一機械設備で重複して助成金を受けられないため、複数件採択された場合には、1件に絞り、他の助成金については辞退する必要があります。

まとめ

 東京都の革新的事業展開設備投資支援事業は、助成額が高額であり、審査も2次審査で面接が行われるなど競争がかなり厳しいと言われています。しかし、この事業では小規模事業者が最新設備の設置計画を持っている場合、最大3,000万円(2/3助成)もの助成金に加え、設置場所も東京以外の首都圏(東京都に本店のある場合)も対象とし、さらに併願によりリスク緩和も可能にしています。小規模企業にとって挑戦しやすい仕組みになっており、競争力強化 による成長に挑む小規模企業者の皆様は、ぜひ本助成事業に挑戦してはいかがでしょうか?

執筆者

早速 倫章(中小企業診断士)

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