今年度の「助成金」の重要な変更点

今回は厚生労働省から令和7年度に公募されている、代表的な助成金をご紹介します。
助成金は毎年少しずつ内容が変わります。
申請をご検討中の事業者様は是非ご確認ください。

目次
1.厚生労働省系の助成金とは
2.キャリアアップ助成金(正社員化コース)
3.業務改善助成金
4.人材開発支援助成金(リスキリング支援コース)
5.人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
6.まとめ
1.厚生労働省系の助成金とは

助成金は厚生労働省が、補助金は経済産業省が管轄しています。
両者の最も大きな違いは、助成金が要件を満たせば原則受給できる一方で、補助金は書類審査等を通過しなければ受給できません。
以下、代表的な助成金と、注意すべき変更点をご説明します。

2.キャリアアップ助成金(正社員化コース)

(1)概要
有期雇用の契約社員に対して、半年から5年以内に3%以上の昇給をして、正社員化(契約の定め無し)することで、1名当たり40万~80万円の助成金が支給される制度です。

(2)重要な変更点
◯重点支援対象者以外の助成額が半減(2025年4月以降)
◯派遣社員等については、人材開発支援助成金の特定訓練終了後の特例が廃止され、重点支援対象者への加算に統合された

改正前 改正後
(重点支援対象者)
改正後
(重点対象者以外)
有期契約 → 正社員 80万円
(60万円)
80万円
(60万円)
40万円
(30万円)
無期契約 → 正社員 40万円
(30万円)
40万円
(30万円)
20万円
(15万円)

(3)「重点支援対象者」とは以下のいずれかに該当する方です。
◯雇い入れから3年以上の有期雇用労働者
◯雇い入れから3年未満かつ、次の2つの要件を満たす者
– 過去5年以内に正社員歴が1年以下
– 過去1年以内に正社員として雇用されていない
◯派遣労働者、母子・父子家庭の親、人材開発支援助成金の訓練修了者

(4) 注意点
◯助成金申請前に、キャリアアップ計画をハローワークへ提出する必要がある
◯通算5年を超えて有期雇用されている対象者は、無期雇用とみなされる

3. 業務改善助成金

(1)概要
事業場内(オフィス内)の最低賃金を30円以上引き上げ、生産性向上に繋がる設備投資を行う場合に、費用の一部が助成される制度です。
中小企業や小規模事業者で、地域別最低賃金からプラス50円以内の事業者が対象です。例えば東京都の場合、時給1,213円以下の従業員が在籍していれば、申請対象となります。

(2)設備投資の活用事例
◯POSレジの導入
◯顧客管理や予約受付のITシステム導入
◯パソコンやスマートフォンの新規導入(特例事業者のみ)
◯自動車の購入等(特例事業者のみ)

(3) 重要な変更点

昨年度 今年度
労働者の雇用期間 3ヶ月以上 6ヶ月以上
助成上限(※) 記載なし 600万円
事業完了期限 令和7年12月末 令和8年1月31日(延長可)
大企業 一部対象 みなし大企業は対象外

(※) 最低賃金の引き上げ人数、引き上げ幅、事業規模により異なります

(4) 注意点
◯LEDやエアコンなどの職場環境改善を目的とした設備は対象外
◯交付決定前に設備を購入または導入した場合は対象外
◯賃金引き上げ後の最低賃金額は、就業規則などに明記する必要がある
◯賃金の引き上げは一括で行う必要がある
◯同一事業場での申請は年度内に1回のみとなる

4. 人材開発支援助成金(リスキリング支援コース)

(1)概要
自社で雇用している社員に対してリスキリング(学び直し)を実施することで、訓練経費や訓練中の賃金の一部が助成される制度です。
この制度は、令和8年度までの時限措置として実施されています。

(2)対象となる訓練内容
《訓練内容》
◯新規事業、サービスの立ち上げに必要な専門知識やスキルの習得
◯社内のDX(デジタル化)、GX(脱炭素、グリーン化)推進に必要な訓練

《訓練方法》
◯原則 OFF-JTの座学(eラーニング・通信講座含む)で、10時間以上

(3) 助成金額

中小企業 大企業
賃金助成額 1,000円/時間 500円/時間
経費助成率 75% 60%

(4) 注意点
◯訓練開始の6ヶ月から1ヶ月前まで間に「職業訓練実施計画届」を提出
◯訓練は必ず全額自己負担で実施(割引や返金を受ける場合は対象外)

5. 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

(1) 概要
外国人労働者を雇用する中小企業が、言語や文化の違いに配慮した就労環境を整備することで、1制度につき20万円(最大80万円)の助成が受けられます。

(2)助成金額
1制度の導入につき20万円(最大4制度80万円まで)

《必須の制度》
a.雇用労務責任者の選任
b.就業規則等の多言語化

《選択の制度》(1つ以上)
c.苦情や相談体制の整備
d.一時帰国の休暇制度の整備
e.社内マニュアルや標識類等の多言語化

(3)支給対象となる要件
◯社会保険の適用事業所であること
◯外国人労働者(雇用保険被保険者)を雇用していること
◯就労環境整備計画を事前に提出・認定を受けていること
◯整備後、6ヶ月間の外国人離職率が15%以下であること
◯過去に同コースの助成金を申請し、就労環境整備計画を提出して同コースを申請する場合、最後の受給から3年以上経過していること

(4)支給対象経費の例(外注含む)
◯社内マニュアルや就業規則の翻訳費用
◯外国語標識の制作・設置の費用
◯社会保険労務士への相談対応委託費用
◯外部講習や責任者講習の参加費など

(5)注意点
◯原則、就労環境整備の完了から6ヶ月間の離職率の管理後に申請可能
◯特例として「外国人労働者雇用労務責任者講習」を受講し、就労環境の整備が完了した翌日から2ヶ月以内に申請可能

6. まとめ

助成金ごとに変更点はありますが、国の支援方針は一貫しており、時代の変化に合わせて柔軟に対応する姿勢が見てとれます。
自社に合った助成金を早めに見極め、戦略的に活用することが重要です。

当研究会には、助成金申請に詳しい専門家も在籍しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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2016-03-08 02:04
執筆者

コンサルティング・ビジネス研究会 中島未宇人(中小企業診断士)



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