「東京都版ものづくり補助金」とも称される「革新的事業展開設備投資助成事業」の申請受付が間もなくスタートします。
東京都内の小規模企業者であれば、ものづくり補助金をはるかに上回る最大3,000万円(助成率2/3)の設備投資助成を受けられるこの事業、採択を勝ち取るには、どのような点に注意すればいいのでしょうか。
本コラムでは、採択に至った実際の企業の事例から、採択のポイントをお伝えしていきます。
目次 |
1.東京都版ものづくり補助金「革新的事業展開設備投資助成事業」とは?
2.小規模企業者の皆様は、助成限度額3,000万円の「競争力強化」コースが狙い目! 3.助成金獲得支援の事例と採択のポイント 4.まとめ |
「革新的事業展開設備投資助成事業」とは、東京都が、東京都内で2年以上事業を継続している中小企業を対象として実施する助成金制度です。各企業の競争力強化に必要な最新機械設備の導入経費に対して、限度額3,000万円(事業区分によっては1億円)と、ものづくり補助金を大幅に上回る金額が採択企業に対して助成されます。
助成対象事業は、以下のA~E5つの申請者区分に分かれます。
申請者区分 | 事業区分 | 助成率 | 助成限度額 |
A | 1.競争力強化(中小企業者) | 1/2以内 | 1億円 |
B | 1.競争力強化(小規模企業者) | 2/3以内 | 3,000万円 |
C | 2.成長産業分野 | 2/3以内 | 1億円 |
D | 3.IoT、ロボット活用 | 2/3以内 | 1億円 |
E | 4.後継者イノベーション1億円 | 2/3以内 | 1億円 |
助成額が大きい分、書類審査(一次審査)に加えて面接審査(二次審査)も実施するなど、審査のハードルも高いのが特徴。また、区分C~Eは支援テーマが限定されているために助成対象の企業が限られてしまいます。
「金額は魅力だけど、面接も受けなきゃいけないのか…面倒そうだな…」
「成長産業とかロボット活用なんて、わが社には関係ないよな…」
そんな風に思ってしまった経営者の皆様!心配はご無用です!
実は、区分A・Bの「1.競争力強化」については、対象となる事業内容の幅が広いため、様々の業種の企業がチャレンジ可能なのです!
ここからは、Consultoriaメンバーが実際にお手伝いし、採択に至ったA社様の事例をご紹介し、採択のポイントについてお伝えします。
〔A社の概要〕
[事業区分]1.競争力強化(小規模企業者)
[業 種]印刷業
[従業員数]12名
[助成金交付額]3,000万円
- A社様は、従業員数10数名ながら、大手映画配給会社やテレビ局等を取引先に持ち、品質要求水準が極めて高い映画や舞台芸術のポスターやパンフレットの印刷を手掛けるなど、優れた印刷技術を有する印刷会社でした。
- 年々高まる小ロット・短納期要請に対応し、かつ印刷不良によるロスの低減を目指すべく、速乾性に優れたUV印刷対応を進めるために不可欠なUV-LED乾燥器の導入を図るために、本助成金への挑戦を決意。
- Consultoriaでは、複数メンバーによる支援体制を組み、事業計画作成から二次審査の面接対策まで手厚くフォロー。見事1回目の申請で採択を勝ち取ることができました。
〔採択のポイント〕
筆者が支援に携わる中で感じた、採択に至ったポイントは以下の通りです。
- 数度に渡るヒアリングで、製品面や技術面、組織面等あらゆる角度から、当社の強みや、強みの阻害要因を浮き彫りにすることで、事業計画において、「設備投資によって当社の強みがどう強化され、どう収益に繋がるか」に関し一貫性と整合性あるストーリーを構築できたこと
- 設備メーカーの担当者とも連携し、設備導入によって強化される技術的な強みを有機的に事業計画に盛り込むことができたこと
事業計画に「自社の成長ストーリー」を「一貫性と整合性」をもってどのように組み立てるか。
採択のポイントを端的に表すとすれば上記の1点に尽きると考えています。
以上のように、東京都「革新的事業展開設備投資助成事業」は、決してハードルは低くないものの、小規模企業者の皆さんでも採択のチャンスが十分に見込める助成金です。この機会を逃さず、是非チャレンジを検討してみて下さい。
我々も、事業計画作成から面接対策、採択後の手続きに至るまで精一杯お手伝い致します。
詳しくはコチラまで。
齊藤光介(中小企業診断士)
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