ものづくり補助金の事業計画書作成に役立つRESASの活用法

RESAS(地域経済分析システム)とは、地域経済に関連したデータを見える化する、Web上のツールです。

経済産業省と内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部事務局)が提供しており、無料で利用可能です。

地域経済の特徴の把握が容易になり、ものづくり補助金の事業計画書作成にも役立ちます。

目次
1.「データ分析支援機能」を活用して優位性を示すことができます

2.新たなサービスの商圏調査・分析に活用できます

3.加点項目である「地域経済牽引事業計画」の策定に役立ちます

4.まとめ

1.「データ分析支援機能」を活用して優位性を示すことができます

 ものづくり補助金の事業計画では、審査項目「事業化面」に記載されるように、補助事業の成果の同業他社に対する優位性を示すことが重要です。ものづくり補助金の目的は「生産性向上に資する」事業に対する支援ですから、自社の労働生産性が同業他社のそれを上回ることを示すことができれば、自社の優位性を示す定量的な根拠の一つとなります。

 他社の労働生産性は、地域別業種別の集計値として、RESASから簡単に取得可能です。「データ分析支援機能」(試用版)が2019年4月に追加され、表示内容が地域の産業を分析する流れに沿っているため、より使い易くなっています。まず自社の地域を最初に設定し、「労働生産性(企業単位)」や「労働生産性(製造業の事業所単位)」の画面上で業種を設定することにより、地域別業種別の集計値を確認することができます。

 なお、労働生産性は、従来からの機能である「産業構造マップ→全産業→労働生産性(企業単位)」などの画面でもマップ上で取得可能です。地域が特定されている場合には、「データ分析支援機能」の利用により、地域経済の特徴を把握する流れに沿って簡単な操作で取得することができます。

2.新たなサービスの商圏調査・分析に活用できます

 ものづくり補助金の審査項目「技術面」の筆頭に記載されるように、事業計画では革新性を示すことが最も重要です。特に、サービスに関する事業(革新的サービス)での申請では、革新的な開発となっているかどうかについて、「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」で示された方法(10種類)との関連を示すことが必要です。その一つとして「商圏の拡大」があります。

 RESASは、商圏の調査・分析に活用することができます。例えば、「まちづくりマップ→事業所立地動向」は、競合の分析などに有用です。この機能では、

    1. 指定した市区町村・業種の事業所が地図上に表示され、
    2. 地図上で任意で選択した地域(エリア)内に所在する、指定業種の事業所について、事業所一覧や業種構成比(の推移)を表示することができ、
    3. 事業所一覧では、事業所が登録されてからの経過年数(2011年以降)が把握できます。(データの出典は、日本ソフト販売株式会社「電話帳データ」、業種分類は同社の独自調査による)

 以下は、商圏の調査・分析に役立つ、RESASの統計データや地図上での地域比較、時系列グラフ表示など分析項目のうち主なものです。

人口マップ 人口構成:人口推移、人口ピラミッド、人口増減、将来人口推計、等
まちづくりマップ 滞在人口(率)、通勤通学人口:地域間移動、流動人口メッシュ、事業所立地動向、等
産業構造マップ 「小売・卸売業(消費)」:商業の比較、消費の傾向、等
観光マップ 「外国人」:外国人滞在分析、外国人訪問分析、等

 なお、地図でみる統計(jSTAT MAP)も、分析対象とする地域の広さには制約がありますが、商圏分析に活用することができます。RESASと同様に国から提供され、無料で利用可能な統計地理情報システム(GIS)です。

3.加点項目である「地域経済牽引事業計画」の策定に役立ちます

 ものづくり補助金の審査項目には「政策面」として、

「国の方針と整合性を持ち、地域経済と雇用の支援につながることが期待できる計画であるか」

があります。また、加点項目の一つとして、

地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画の承認取得(承認は都道府県による)

があります。同計画のポイントは、

地方自治体が作成した基本計画に基づき、「①地域の特性を生かして、②高い付加価値を創出し、③地域の事業者に対する相当の経済的効果を及ぼす」事業

であることです。

 RESASは、地方自治体による基本計画の作成や実施に必要となる情報の分析などについて、支援する手段として位置づけられています。
また、エビデンスに基づく政策形成(EBPM)を推進する地域経済産業政策の基盤強化の一環として、RESASの活用が重視されています。

 地域経済牽引事業計画の策定では、RESASで提供される「地域経済循環マップ」の基礎データである地域産業連関表を用いることにより、一定の条件の下で、経済波及効果や雇用創出効果の計算が可能です。

 この計算は、ものづくり補助金の審査項目「政策面」で求められる計画であることを示すことにもつながります。経済波及効果や雇用創出効果を分析するツールを公開する都道府県もあります(東京都など)。

 総務省は、都道府県等における産業連関分析実施状況を公表しています。

まとめ

 RESASは、ものづくり補助金だけに限らず、その他の補助金・助成金の計画書作成にも活用できる、地域経済の特徴を把握するための基本となるツールです。

 小規模事業者持続化補助金の公募要領には、RESAS活用についての記載があります。また、最近提供が開始された「サマリー」機能など、地域別の(時系列)データをダウンロードして分析することも可能です。

 補助金の申請やRESASの活用法などにご関心のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

執筆者

荒川 清志(中小企業診断士)

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