DX(デジタルトランスフォーメーション)に続くトレンドが、「GX(グリーントランスフォーメーション)」です。
このGXとは何かを十分に理解されていない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はGXの関連情報と補助金制度についてご案内します。
目次 |
1.GXとは
2.なぜGX関連の補助金が拡充しているのか 3.GXに利用できる補助金制度について 4.まとめ |
GXとは、温室効果ガスの排出削減と、経済成長を同時に実現することで経済や社会を変革(トランスフォーメーション)する取り組みです。具体的には「エネルギー使用量の抑制(省エネ)」や「生成時に温室効果ガスを発生しないエネルギー(再生可能エネルギー)へのシフト」が挙げられます。
世界の平均気温は工業化以前(1850~1900年)から上昇を続けた結果、洪水・台風等の自然災害の増加や食糧不足などが生じて、人類の生存そのものが危険にさらされる恐れがあります。そこで、取組みである「2050 年までのカーボンニュートラル達成」が示されました。
日本政府もカーボンニュートラルの達成に向けて、「法規制の強化」と「(補助金等の)支援制度の拡充」で事業者のGXを促進しています。今後もカーボンニュートラルの達成に向けたGX促進を目的に、「法規制の強化」「支援制度の拡充」に取組むことが予想されます。
(図は環境省「脱炭素ポータル」より)
2023年に公募された補助金の中で、GXに利用できる制度を見てみましょう。
① ものづくり補助金
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通常枠 | グリーン枠 (アドバンス類型) |
補助上限額 | 750万〜1,250万円 | 1,000万〜4,000万円 |
補助率 | 2分の1 (小規模事業者等は3分の2) |
3分の2 |
ものづくり補助金のグリーン枠は、下記の取り組みが対象となります。
・温室効果ガスの排出削減につながる、革新的な製品やサービスの開発
・炭素生産性の向上を伴う、生産プロセス等の改善による生産性向上
尚、申請には通常の事業計画書に加え「炭素生産性向上の取組及び温室効果ガス排出削減等の取組状況」の提出が必須です。具体的な目標数値の考え方は、下記のとおりです。
・労働生産性[円/人]=付加価値額[円]÷従業員数[人]
・炭素生産性[円/kg -CO2e]=付加価値額[円]÷温室効果ガス排出量[kg -CO2e]
注)温室効果ガスの単位[kg-Co2e」は、すべての種類の温室効果ガスを二酸化酸素1kgの排出量相当に換算した値を示します。
② 事業再構築補助金
成長枠 | グリーン成長枠 (スタンダード) |
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補助上限額 | 2,000万〜7,000万円 | 1億〜1.5億円 |
補助率 | 2分の1(中小企業者等) |
事業再構築補助金のグリーン成長枠は、「グリーン成長戦略の重点14分野に該当する事業」に関連した取り組みが対象となります。想定事例は下記のとおりです。
・リチウムイオンバッテリー部材の製造 (5.自動車・蓄電池産業)
・省エネを活かした住宅やZEH(※1)の販売 (12. 住宅・建築物・次世代電力マネジメント)
(※1) ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略です。太陽光発電や高断熱化で、消費するエネルギーよりも生み出すエネルギーが上回る住宅を指します。
・グリーン成長戦略の重点14分野(概要)
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/pdf/green_koho_r2.pdf
・グリーン成長枠の想定事例
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/cases/green_seityo_soteijirei.pdf
③GXに利用できる補助金の採択率
補助上限額や補助率が優遇されたグリーン(成長)枠は魅力的ですが、採択率を見てみましょう。グリーン(成長)枠は採択率が若干低いですが、補助上限額が高まることを加味すれば、検討する価値があるのではないでしょうか。
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ものづくり補助金 | 事業再構築補助金 | ||
全体 | グリーン枠 | 全体 | グリーン 成長枠 |
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申請者数 | 5,694 | 155 | 10,821 | 631 |
採択者数 | 2,861 | 62 | 5,205 | 262 |
採択率 | 50% | 40% | 48% | 41% |
今回はGXについて案内しました。日本政府は2050年までに、150兆円のGX投資を実現する方針を掲げており、GXの注目度は年々高まっていくことでしょう。CB研にはGXの活用をはじめ、各種補助金の申請から採択後のご支援まで、経験豊富なコンサルタントが多数在籍しています。ぜひご相談ください。
コンサルティング・ビジネス研究会では、ものづくり補助金や事業再構築補助金の申請書作成支援サービスを行っています。詳しくは以下のホームページをご覧ください。
コンサルティング・ビジネス研究会 加藤 弘之樹(中小企業診断士)
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