東京都版ものづくり補助金「革新的事業展開設備投資支援事業」を分析する

東京都中小企業振興公社が募集している「革新的事業展開設備投資支援事業」は、助成額上限が1億と、設備投資の補助金・助成金としても極めて大型のものです。東京版「ものづくり補助金」とも言われます。
第4回(2018年秋募集)の募集要項には、「現状に満足することなく果敢に挑戦する中小企業等」に対して「最新機械設備の購入経費の一部を助成」と書かれており、高額の設備投資を都として後押しする狙いが込められています。
そして、設備投資の結果年3%以上の生産性向上が見込まれることも、要件として求められます。

革新的事業展開設備投資支援事業 (東京都)イメージ

目次
1.「革新的事業展開設備投資支援事業」申請スケジュール

2.「革新的事業展開設備投資支援事業」の助成対象事業

1.「革新的事業展開設備投資支援事業」申請スケジュール

2017年から導入されたこの助成金は、春・秋年2回の募集となります。
昨年実績からのスケジュールを図にまとめましたので、参考にしてください(なお、年により実施時期は前後することもあります)。

革新的事業展開設備投資支援事業 助成採択までの流れ

助成額や助成率の高い助成金だけに、審査も相当厳しいようです。
書類の一次審査、面接の二次審査に加え、現地調査も入ります。

 

厳しい競争率の助成ゆえ、「ものづくり補助金」など東京都中小企業振興公社以外の団体が行う補助金との併願申請も一つの方法です。(第4回・2018年秋の募集要項には「併願も可」と記されています)
但し、両方採択された場合は、どちらか片方は辞退する必要があります。

2.「革新的事業展開設備投資支援事業」の助成対象事業
「革新的事業展開設備投資支援事業」は、「I 競争力強化」「II 成長産業分野」「III IoT・ロボット活用」3つの事業区分に分けられ、それぞれ助成率や助成額上限が異なります。
本項では、助成額上限が1億円・助成率も2/3と額・率ともに最大級の「II 成長産業分野」について見ていきます。
「II 成長産業分野」は、「医療・健康・福祉」「環境・エネルギー」「危機管理」「航空機・宇宙」「ロボット」「自動車」の各分野に分かれます。
採択事例を見ると「医療・健康・福祉」の分野で、高度な機能を有する手術器具の量産化を行うべく自動工作機械3次元測定器を導入する企業に、助成が認められました。設備投資により大量生産を実現、生産性向上を目指すという方向性です。
「環境・エネルギー」分野では、廃プラスチックゴミの高度な複合選別装置を備えたリサイクル工場。これを新設する企業に、助成が認められました。
廃棄物処理が手作業に依存する現状の中、複合選別装置の導入に伴う機械化で、分別精度の向上や省力化を図り、生産性向上を目指します。
「ロボット」分野では、精度の高さが求められる部品生産に際し、全数自動検査ロボットを導入する企業に助成が認められました。検査の高精度化・省力化を進め生産性向上を目指すという方向性でしょう。
「自動車」分野は、次世代自動車関連製品の増産を図る目的での設備投資に、採択事例が目立ちます。
次世代自動車用部品の生産を本格化させるべく射出成形機CNC自動精密旋盤を導入する企業や、次世代自動車向け・高精度温調装置の生産を増強すべくワンショット3D形状測定機を導入する企業に、助成が認められました。
まとめ

採択事例を見ると、以下の傾向が見られます。

  • (比較的)高額、かつ最新鋭の設備投資
  • 設備投資を通じ、省力化・増産等「生産性の向上」が見込まれること

さらなる成長を目指す企業向けの、助成金と言えます。

一方、倍率も高く激しい競争が予想されます。「革新的」という言葉からも、世の中にあまり広まっていない希少価値の、競争力の高い事業であることが求められるでしょう。事業計画にも完成度の高さが求められ、入念な準備が必要と思われます。

 

参考リンク:革新的事業展開設備投資支援事業 (東京都)|Consultoria

執筆者

中小企業診断士 宗像 宏之(むねかた ひろゆき)

 

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