事業継続力強化計画の認定を取得しよう!!(補助金加点等あり)

2019年7月に施行された「中小企業強靱化法」に基づき、「事業継続力強化計画」(各企業が策定したBCP)を経済産業大臣が認定する制度ができました。「事業継続力強化計画」の認定を受けた企業は、税制優遇や金融支援、補助金の加点などの支援策を受けることが可能です。既に、2019年8月に公募開始の平成30年度「ものづくり補助金」二次公募も補助金加点の対象となることも公表されています。

目次
1.事業継続力強化計画はどういうもの?

2.事業継続力強化計画の認定された企業は何が有利なの?

3.事業継続力強化計画をどのように作成するの?

4.まとめ

1.事業継続力強化計画はどういうもの?

 皆さんもご存じのとおり、2018年は台風21号や北海道胆振東部地震等がありましたが、自然災害が中小企業の経営に大きな影響を及ぼす可能性がでてきています。しかし、中小企業においては、少人数で日々多忙を極める経営の中で、BCP(事業継続計画)策定の優先順位がなかなか上がらない状況があります。そこで、中小企業が積極的にBCP策定することを目的として、国からの多くの支援を受けることができる「事業継続力強化計画」の認定制度を中小企業庁がつくりました。

 では、「事業継続力強化計画」をどのように認定してもらうのでしょうか?
 以下の3つのSTEPがあります。
STEP1.制度の利用を検討/事前確認・準備
 ・金融支援、税制優遇、補助金加点の支援を受ける際の要件を確認します。
 (要件によっては苦労して計画の認定を受けても支援を受けられません。)
STEP2.事業継続力強化計画策定
 ・「単独型」(1社)、「連携型」(複数社)を選択します。
 ・フォーマット(申請書、チェックシート)をダウンロードして、作成します。
STEP3.事業継続力強化計画の申請・認定
 ・提出書類:①申請書、②チェックシート、③参考書類、④ ①~③の電子データ(CD‐R)、⑤返信用封筒
 ・各経済産業局長宛てに提出します。
 ・申請から認定まで約45日かかります。(支援を受ける際には要確認) 
 特に、先端設備等導入計画の認定とは異なり、申請から認定を受けるまでに約45日間の期間がかかる点、また、各地方の経済産業局宛てに提出する点は要注意です。
2.事業継続力強化計画の認定された企業は何が有利なの?

 事業継続力強化計画の認定をされた企業には、大きく3つの有利な点があります。

1.補助金(ものづくり補助金、持続化補助金)の優先採択
 具体的な加点等については不明確でありますが、2019年8月に公募開始の平成30年度「ものづくり補助金」二次公募の加点対象となることが公表されています。先端設備等導入計画の制度がスタートした際と同様で、新しい制度を開始する際にはその制度の拡がりを加速させるために、事業継続力強化計画の認定が補助金の採択にかなり有利に働く可能性もあります。事業継続力強化計画が補助金採択の可否の分かれ目になる可能性もあるため、2019年8月以降のものづくり補助金、小規模持続化補助金を申請する際には、極力、事前に事業継続力強化計画の認定を受けることをお勧めします。
2.低利融資、信用保証枠の拡大等の金融支援
 日本政策金融公庫の低利融資を受けることができるようになります。具体的には、設備資金について、基準金利率から0.9%引下げとなります。また、事業継続力強化計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける際、信用保証協会による信用保証のうち、普通保険等とは別枠での追加保証や保証枠の拡大が受けられます。
3.防災・減災設備に対する税制措置
 認定された事業継続力強化計画に従って 取得した一定の設備等について取得価額20%の特別償却が適用できます。ただし、取得設備や取得期間に制限がありますので、詳細は中小企業庁のHPを確認願います。
 1~3以外にも、「中小企業庁HPでの認定を受けた企業の公表」 「認定企業にご活用いただけるロゴマーク(名刺使用可)」などのメリットもあります。
3.事業継続力強化計画をどのように作成するの?

 事業継続力強化計画を作成することは難しいのでしょうか?

 結論から言いますと、初めてBCPを作成する企業にとっても、申請書のフォーマットに沿って、手引きを読みながら作成することは可能です。
 まず、中小企業庁のHPから申請書のフォーマット(事業継続力強化計画申請様式【記入用】【チェックシート】)をダウンロードします。その上で「事業継続力強化計画策定の手引き」を参照して、作成していきます。
 ⇒ 詳細はコチラ
手引きについては80ページ弱ありますので、計画の申請書に記載しなくてはならないポイントを下記に要約します。
STEP1. 事業継続力強化の目的の検討
 なぜ、事業継続力強化計画を策定するのかを記載します。自然災害が発生した際の従業員やその家族に対する責務や自社の経営方針、取引先や地域経済への影響等を記載します。
STEP2. 災害リスクの確認・認識
 事業所が立地する地域のハザードマップを確認した上で、自然災害発生により、自社のヒト、モノ、カネ、情報へどのような影響があるかを記載します。
STEP3. 初動対応の検討
 自然災害発生時の初動対応として、「人命の安全確保」、「非常時の緊急時体制の構築」、「被害状況の把握・被害情報の共有」について、具体的な方法を記載します。
STEP4. ヒト、モノ、カネ、情報への対応
 STEP2.で記載した、ヒト、モノ、カネ、情報への影響が起きないために、事前にどのような準備をしておくかを具体的に記載します。モノについては、本計画により税制優遇を受ける場合、購入する設備を記載する必要があります。
STEP5. 平時の推進体制
 実効性を確保するために、実施体制の整備、年一回以上の訓練・教育、計画の見直しについて記載します。
 記載の具体的な事例ついては、手引きに記載されており、それを流用して記載することも可能です。ただし、具体的かつ実効性が高いものでない場合には、経済産業局から照会や差戻しを受ける場合があります。もし、事業継続力強化計画に作成に不安があるようでしたら、BCP作成や補助金申請等に精通している中小企業診断士にご相談してみるとよいです。
まとめ

 事業継続力強化計画の認定制度については、新しく法律も制定されていることから、中小企業庁が2019年度に実施する施策の中でも、かなり優先度が高い施策と思われます。

 これを機に事業継続力強化計画を策定することは、災害に強い企業を作ることにつながり、補助金の優先採択や、税制優遇等の支援も受けられることから、一石二鳥にも三鳥にもなります。
 ぜひ、事業継続力強化計画を今すぐ策定してみてはいかがでしょうか?

執筆者

永田 純也 (中小企業診断士)

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