海外展開にお薦めの「JAPANブランド補助金」が変更されました!

海外展開を目指す事業者にお薦めの「JAPANブランド育成支援等事業費補助金(以降、JAPANブランド補助金)」を、ご存知でしょうか?
今年の「JAPANブランド補助金」は、ものづくり補助金へ統合され、いろいろな点が変更されました。
そこで今回は、変更となった点や採択のポイントをご紹介いたします。

目次
1.ものづくり補助金とは

2.「JAPANブランド補助金」と「海外市場開拓類型」の比較

3.ものづくり補助金に申請するための要件

4.採択のポイント

5.まとめ

1.ものづくり補助金とは

補助金
「ものづくり補助金」とは、中小企業等の新たな設備投資を
支援する補助金で、平成25年から毎年公募されています。
JAPANブランド補助金は、ものづくり補助金の数ある申請枠の中で、「グローバル市場開拓枠」の「海外市場開拓(JAPANブランド)類型」に統合されました。
ものづくり補助金は、通常枠や回復賃上げ・雇用拡大枠などの他に、グローバル市場開拓枠もあります。
その内訳は以下のとおりです。

1) 海外市場開拓(JAPANブランド)類型(以降、海外市場開拓類型)
2) 海外直接投資類型
3) インバウンド市場開拓類型
4) 海外事業者との共同事業類型

2.「JAPANブランド補助金」と「海外市場開拓類型」の比較

JAPANブランド

旧来の「JAPANブランド補助金」と15次公募からの「海外市場開拓類型」の違いをまとめました。

〇補助金名 JAPANブランド補助金
公募回数  :1回/年
補助金額  :500万円以内
補助率   :3分の2
補助対象経費:機械装置等費、旅費、通訳・翻訳費、広報費、資料購入費、講座受講料、雑役務費 他

〇補助金名 ものづくり補助金(海外市場開拓型)
公募回数  :複数回/年
補助金額  :100万円~3000万円
補助率   :2分の1
補助対象経費:機械装置・システム構築費(※1)、広告宣伝・販売促進費、海外旅費、通訳・翻訳費 他 (※2)

(※1) 単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必須
(※2) 補助対象経費には以下のような制限がある
    - 海外旅費       (申請する経費総額の5分の1以内)
  - 通訳・翻訳費     (申請する経費総額の5分の1以内)
    - 広告宣伝・販売促進費 (申請する経費総額の2分の1以内)

① 統合して良くなった点
  – 採択のチャンスが増加 (公募:1回/年→複数回/年)
  – 補助上限額の増加 (補助上限:500万円→3,000万円)
  – 支援パートナー(中小企業庁が選定した事業者)との契約が不要

② 統合して悪くなった点
  – 事業者によっては補助率が低下 (補助率:3分の2→2分の1)
  – 賃上げが必須 (詳細は以下の【基本要件】を参照)
    – 経費の一部が補助対象外 (雑役務費、資料購入費、講座受講料)
    – 設備投資が必須

3.ものづくり補助金に申請するための要件

「海外市場開拓類型」に申請するためには、以下の基本要件と追加要件に該当する必要があります。

【基本要件】
 - 下記を満たす3~5年の事業計画を策定
・ 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
・ 自社の最低賃金を都道府県別の最低賃金より+30円以上
・ 付加価値額を年率平均3%以上増加

【追加要件 (海外市場開拓類型)】
 - 下記を満たす3~5年の事業計画を策定
・ 製品等の最終販売先の2分の1以上が海外顧客となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助金額を上回る
・ 補助事業実施場所を国内に有する
・申請時に海外市場調査報告書を提出する

4.採択のポイント

① 独自の審査項目
申請する際は「グローバル市場開拓枠」や「海外市場開拓類型」独自の審査項目にご注意ください。
“ブランディング・プロモーションの具体的なマーケティング戦略”は特に重要なため、必ずご記載ください。

【審査項目(グローバル市場開拓枠のみ)】
– 海外展開等に必要な実施体制や計画が明記されている
– グローバル市場開拓に必要な専門性を有する申請者、

または外部専門家等が関与する
– 事前の十分な市場調査分析を行った上で、国際競争力の高い

製品・サービスを開発する
– 国内の地域経済に寄与する計画である
– 将来的に国内地域で新たな需要や雇用を創出する

【審査項目(海外市場開拓類型のみ)】
ブランディング・プロモーションなど、具体的なマーケティング戦略が事業計画書に含まれている

② お薦めの加点項目
「ものづくり補助金」には、審査で優遇される加点項目があります。
加点項目の中でも、下記は「海外市場開拓類型」に申請する際にお薦めです。
– 「パートナーシップ構築宣言」の登録と公表
– 有効な期間の「事業継続力強化計画」の認定を受ける
– 下記の賃上げを計画し、事務局へ宣誓書を提出
 ・ 給与支給総額:年率平均2%以上増加あるいは年率平均3%以上増加
 ・ 事業場内最低賃金:自社の最低賃金を都道府県別の最低賃金より+30円以上、あるいは+45円以上引上げる

– 「新規輸出1万者支援プログラム(※3)」のIDを取得
(※3)日本貿易振興機構(ジェトロ)が運営するウェブサイト。
輸出の相談や、海外販路開拓の支援等のサービスを提供する。
https://www.jetro.go.jp/ichiman-export.html

 

③ 海外市場調査報告書について

「海外市場開拓類型」に申請する際は、通常の事業計画書に加え「海外市場調査報告書」も提出する必要があります。
記載事項については、ものづくり補助金事務局の公式サイト内の“よくあるご質問”で紹介されていますので、ご確認ください。

【海外市場調査報告書の記載事項】
– 具体的な想定顧客
– 販売を想定している国における、製品等の市場・競争環境
– 販売を想定している国における、製品等の顧客ニーズ
– 販売戦略 等

 

まとめ

「JAPANブランド補助金」がものづくり補助金に統合されたことで、公募回数や補助上限額が増加し、申請のチャンスは増えました。

海外展開を検討中の事業者は、ぜひ「海外市場開拓類型」の申請をご検討ください。

コンサルティング・ビジネス研究会ではものづくり補助金申請の支援サービスを行っております。
詳しくはモノづくり補助金のページをご覧ください。

執筆者

コンサルティング・ビジネス研究会 中小企業診断士 辰巳 太兵衛

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