中小企業の設備投資を支援してくれる「ものづくり補助金」(正式名称「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」)をご存じでしょうか。
中小企業が新製品やサービス開発等に取組むための設備投資に使える返済不要の補助金です。ここでは、採択されるために重要なポイントである革新性について解説します!
目次 |
1.採択されるには
2.「革新性」って何? 3.「革新性」をアピールしよう! 4.まとめ |
1.公募要領をしっかり読みましょう
「ものづくり補助金」は申請すれば必ずもらえるものではなく、事務局の審査により採択されるかどうかが決まります。
これは補助金全般に言えることですが、補助金の申請は公募要領に沿っていなければ採択されません。公募要領には、「ものづくり補助金」の目的、補助金の対象者、補助金の対象となる事業や条件、応募手続き、審査項目など補助金の申請に必要な情報が書かれています。「ものづくり補助金」の申請を検討される際は、まず公募要領をしっかり読みましょう。
2.ものづくり補助金の申請で最も重要な点が「革新性」
公募要領の中でも特に読んでいただきたいのは「審査項目」です。申請した事業計画は、「審査項目」により採点され、採択されるかどうかが決まります。「審査項目」には、
「新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む))の革新的な開発となっているか」
という項目があります。
革新性のない計画(申請)ではまず採択されないと考えていいでしょう。以降では、この重要ポイントである革新性について紹介します。
1.「革新性」の定義
「革新的」とはいったい何をすればいいのでしょうか。公募要領には、
「新商品(試作品)開発」、「新役務(サービス)開発」、「新たな生産方式の導入」、「新たな提供方式の導入」
のいずれかであると書かれています。
(出所:公募要領〔一般型・グローバル展開型〕(5次締切分)概要版)
新商品や新サービスの開発とは、自社にとっての新商品・新サービスという意味ではありません。中小企業庁によると
「自社になく、他社でも一般的でない、新商品・新サービスの開発、新生産方式のこと」(「ミラサポ」インタビュー記事)
という定義が示されています。つまり、自社にとっては新商品でも世の中にありふれた物だとか、古い設備を更新するだけの設備投資の申請では、採択されないと考えていいでしょう。
2.「他社でも一般的でない」とは?
同記事では
「『地域の先進事例』や、『業種内での先進事例』にあたるかどうかなど、『相対的』な視点から、革新性を示さなければなりません」
と言っています。同業他社において既に普及している一般的なものでなく、社内で既に取り組んでいるものでなければ、新たな取り組み(革新的)として認められる可能性が高いといえます。
1.審査員は必ずしもその分野の専門家とは限らない
補助金の採択を決める審査員は、必ずしも申請する事業や技術分野の専門家とは限りません。そのため、専門外の審査員が申請書を読んだ時に、どこが「革新的」なのか、できるだけわかりやすくアピールすることが大切です。例えば「〇〇の業界においては一般的ではなく革新的である」と言い切ることも有効だと思います。
2.需要があることをアピール
「革新性」をアピールする上でもう一つ押さえておく必要がある点は、儲かるかどうか、つまり事業性の観点です。ビジネスである以上、「革新的」な商品やサービスがお客様に受け入れられて、儲かる見込みがあるのかどうかが大事な要素となります。
事前に調査を行ったり、お客様の要望を聞いたりするなど、需要が見込めることを確認しておく必要があります。
3.お客様の難題を解決する
取引先から言われている難題や、お客様の面倒な依頼事項などがあれば、それらを解決することが「革新性」につながるかもしれません。お客様から依頼された困難な案件には、そこには確かなニーズがあるので、解決できれば確実に売り上げが上がることになります。
ものづくり補助金は最大で1,000万円もの補助金が受けられる貴重な制度です。製造業だけでなく、ほぼ全ての業種の方が申請対象となります。新たな商品、サービスに取り組みたいと考える経営者を支援してくれる制度ですので、「革新性」のある事業計画を準備し、積極的に活用していただきたいと思います。
CB研では「ものづくり補助金」の申請支援を数多く手掛けております。計画書の書き方や手続きに悩むことがありましたら、お気軽にご相談ください。
鈴木誠(中小企業診断士)
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