この記事をお読みいただいている社長の皆さま、ご自身の会社が市場でいくらになるか考えたことはありますか?
取引先との交渉や資金繰りなど日々の業務に追われていると、大局的に会社の価値を数字で考える機会って意外と少ないと思います。
でも、すぐに売るというわけではないとしても自社の企業価値を認識しておくことは、企業経営においてとても重要なことなんです。
1.企業価値の試算方法
2.時価純資産法
3.利用用途
4.まとめ
そもそも企業価値の試算って、どのようなものなのでしょうか?
実は、軸となるアプローチ手法にさえ、コストアプローチ、インカムアプローチ、マーケットアプローチと3つあり、さらにそれぞれのアプローチごとにいくつかの試算方法があるため、選択肢は沢山あるんです。
対象の企業の規模や業種によって、それぞれに合った方法を選択することが一般的ですが、客観的である点や、計算が比較的容易という点から、中小企業の企業価値試算においては、コストアプローチの時価純資産法を活用することが多いです。
それでは中小企業の企業価値を試算する「時価純資産法」についてみてみましょう。
漢字が多いので、難しそうに聞こえるかもしれませんが、大丈夫です。
簡単に言うと、「企業が保有している資産と負債を現在の価値に直す」、ただそれだけです。
例えば、
・3年前に1000万円で購入した設備って、現在いくらの価値があるのでしょう?
・先代のときから保有している株や土地って、現在いくらくらいでしょう?
・社員たちに支払う予定のボーナスって、あといくらくらいかかるのでしょう?
このように会社の資産を計算し直す、というものです。
表に記載するような項目で計算し直してみてください。
そのうえで、
「資産(時価)-負債(時価)+補正(営業利益の3年分)」
と計算する、以上です!
しかし、時価純資産法は、現時点の資産価値に着目しているため計算しやすいというメリットがある反面、将来当該企業が生み出しキャッシュフローなどを考慮しにくいというデメリットがあります。
そこで、将来に向けた補正をするんです。その補正方法にもいくつかの方法がありますが、営業利益の3倍を補正額とするというのが一番わかりやすく一般的とされています。
企業価値を試算することは、現時点で企業の譲渡/販売などを考えている場合は勿論必要なことですが、すぐに譲渡する予定がなくても、有益です。
例えば、定期的に試算することで自社の価値が市場においてどの程度上昇/下降しているのか把握することや、他社と比較することなどを通じて、自社の価値を認識し、企業経営に生かすことが考えられます。
ひとつ注意が必要なのは、アプローチや試算方法によって、同じような金額が出てくることもあれば、全く異なる金額が試算される場合があるということです。
いよいよ企業を譲渡しようとするときには、時価純資産法以外の方法(例えばマーケットアプローチ)などでも併せて試算することをお勧めします。
いかがでしたでしょうか?
中小企業の社長の皆様、ぜひ一度自社の企業価値を計算してみてください。
企業価値を数字で把握することで、誇りに感じることも、逆に落胆することもあると思います。
しかし、まずもって自社の価値をわかりやすく数字として認識することが企業経営において必要な一歩だと考えます。
岡田浩介(中小企業診断士)
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