社長の皆さん、ものづくり等の補助金をご存知でしょうか?
名前自体は知っていても、中身は知らないということもあると思います。国は様々な制度を設けているため、知らない、使ったことはない、のままでは損です。本紙では補助金の制度、申請方法などを説明したいと思います。
目次 |
1.そもそも補助金って?(条件、金額等)
2.申請のスケジュールは? 3.採択されるための申請のコツとは? 4.まとめ |
日本では国が数多くの補助制度を設けています。ここではよくご質問を頂く助成金と比較しながら補助金の説明をします。
助成金は厚生労働省所管であり、雇用に係わる改善を対象とする支援制度です。一方、補助金は経済産業省が所管する制度であり、新規顧客/商品の開拓、生産性向上などの事業を筋肉質にするための支援制度です。補助金は機械装置、技術導入、外注加工、専門家経費等に適用できます。
助成金は随時申請が可能であり、選定はないため比較的対応しやすいと思われる方が多いです。一方、補助金は年に1、2回しか申請出来ず、採択に向けた選定があるため、助成金と比較するとハードルが高く感じられるかもしれません。その分、補助金額が500~3000万円と高いことが最大の特徴と言えるでしょう。
前述の通り、ものづくり補助金などの補助金は随時申請が出来るわけではなく、年に1、2回しか申請時期がないため、スケジュールを意識した対応が必要になります。
スケジュールは毎年異なるのですが、年末頃に閣議決定されるところから始まります。予算成立を経て、大体2月~3月頃が募集期間となります。4月頃の採決発表を行い、夏頃に交付するところまでが主要なスケジュールになります。
企業は申請に向けた準備や申請書の作成を行う1月~3月頃が一番、負荷が高くなります。本業の繁忙期、閑散期を踏まえて前倒して対応することも良いでしょう。
なお、繰り返しとなりますが、スケジュールは毎年固定ではないため、時期が近付いてきたら中小企業省等からアナウンスされる情報を確認するにしましょう。せっかく準備していたのに、その年に限って例年よりスケジュールが早かったために、締め切りが終わっていたということがないように留意が必要です。
補助金は採択に向けた選定があるため、どのようにしたら採択されるかコツを記載したいと思います。申請書のフォーマットは決まっていますが、提出する際の記載量は企業によってマチマチです。
これまでの経験から大体word20枚程度でしょうか。勿論、冗長に量を増やすというわけではなく、“ちゃんと考えている”ことを多角的にアピールすることが必要です。いくつかコツを記載します。
①求められている記載事項に対する記載箇所の明確化
採択を行う読み手の立場になって、どこに何を記載しているか明確化することが必要です。申請書を書き進めるうちに記載量は増えていくと思いますので、その章に何を記載しているのか見出し等を付記しましょう。
②申請書上の一貫性
申請書に当社の状況(事業環境、企業の強み等)、革新的な商品・サービスの内容、それらを踏まえた将来の展望を記載していきます。現状把握⇒経営・事業の課題認識⇒将来の展望が一貫しているか、革新的な商品・サービスが事業にどのように反映するのか、など多角的に事業の内容を検証し、一貫性を担保するように記載します。
③数字の根拠
将来的の売上額、現在からの増額などを記載するときは、なぜそのような試算をしているか内訳を明確にするとともに、マクロな目線でみて納得感を与えることが重要です。
④有識者の意見
金融機関、中小企業診断士、過去に提出したことがある経営者等、知見がある方に作成やレビューを依頼することが有益です。特に、過去の不採択理由を知っている経験者は有効なレビューが可能だと考えられます。
⑤その他申請書との合わせ
経営力向上計画などは、ものづくり補助金の採択時に加点対象になります。併せて提出することをお勧めします。
いかがでしたでしょうか?日本の中小企業は99.7%と言われており、国は中小企業の永続のために多くの応援をしています。是非、国の制度であるものづくり等の補助金を活用して、筋肉質な事業に改革していきましょう。
補助金は、勿論金銭面でのメリットがありますが、他にも会社を見直す良いターニングポイントになると思います。申請書に事業環境や経営計画などを記載していくため、企業を見直す良い機会になると思います。
岡田 浩介(中小企業診断士)