中小企業事業主向け雇用関係助成金のポイントは?

中小企業にとって頭を悩ませるもののひとつが、「雇用に関する費用」です。そんな中小企業をサポートしてくれるのが、言わずと知れた「補助金・助成金」です。今回は、2018年度雇用に関する助成金にはどんなものがあるのか、かいつまんで紹介していきたいと思います。

中小企業事業主向け雇用関係助成金のポイントは?

目次
1.そもそも補助金・助成金とは

2.2018年度の助成金はどうなる?

3.主な雇用関係助成金

4.まとめ

1.そもそも補助金・助成金とは

国や都道府県などの地方公共団体から中小企業をサポートする手法のひとつが、補助金・助成金です。支給形態としては、必要経費の何割かを支給したり、要件を満たした場合に一定額を支給するものが多いようです。

ところで、補助金・助成金とひとくくりにしていますが、実をいうとその2つは微妙に違います。では、何が違うのでしょうか?

<補助金>
受給するにあたって事業計画などの審査があるものが多く、必ず受給できるとは限らない。経済産業省系の、産業振興や技術開発に関するものが主。比較的金額の高いものが多い。

<助成金>
一定の要件を満たせば、予算を使い切っていない限り、受給できる可能性が高い。厚生労働省系の、雇用や能力開発に関するものが主。比較的金額が低いものが多い。

ただし、東京都では先の「補助金」にあたるものを「助成金」と呼んでいたりもしますので、そこまでカッチリと使い分けしている訳ではないようです。

何れにしても、借入金と違って支給されたお金は返済の必要がありませんので、資金繰りに頭を悩ます中小企業にとって、非常に心強い味方といえるかと思います。

2.2018年度の助成金はどうなる?

補助金・助成金は国及び地方公共団体から支給されますので、当然その時々の政策に則ったものとなります。それ故に、補助金・助成金がどうなっていくのかを知るのに一番参考になるのは、来年度予算です。

現在、平成30年度予算案の審議が国会で行われています。予算のポイントとしては、「人づくり革命」「生産性革命」「財政健全化」が掲げられています。

先にみたように、助成金は厚生労働省系のものですので、雇用(人)にまつわるものが主となっています。来年度予算については、雇用に関連するものとしては、以下を重点要求として掲げています。

<重点要求テーマ> 働き方改革の着実な実行
・同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
・長時間労働の是正や柔軟な働き方がしやすい環境整備
・生産性向上、賃金引上げのための支援
・女性・若者の活躍の推進
・人材投資の強化、人材確保対策の推進
・治療と仕事の両立、障害者・高齢者等の両立支援

重点要求をみてみると、今ニュースなどで話題となっている「働き方改革」と「生産性向上」が大きなテーマになっていることがわかります。

雇用関係助成金も、これらのテーマに則って、既に今年以前に実施されているものの継続や新たな助成金の新設、給付要件の設定がされていくことになります。

3.主な雇用関係助成金

前年から継続されそうな助成金も含め、来年度どのようになっていきそうか、いくつかケース別にご紹介したいと思います。

■長時間労働を是正したい

<時間外労働等改善助成金>
中小企業・小規模事業者が、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進、柔軟な労働時間制度の活用などの改善に自主的に取組む場合、それらに必要な費用の1/2~3/4が助成対象となります。助成金には以下の4つのコースが設定されています。

(1)職場意識改善コース
(2)時間外労働上限設定コース
(3)勤務間インターバル導入コース(新規)
(4)団体推進コース(新規)

 

■社員の能力開発をしたい

<人材開発支援助成金>
段階的・体系的な能力開発を行なうため、業務に関連した専門知識や技能の習得のための職業訓練などを計画にもとづいて実施した場合、または人材育成につながる制度を導入し実際に実施した場合に、訓練経費やその期間中の給料の一部等が助成されます。一部大企業も対象となり、労働生産性が向上している企業については、助成率/額が引き上げられます。

 

■生産性を向上させたい/社員の処遇を改善したい

<業務改善等助成金>

生産性を向上させるため、設備等の導入や経営コンサルティングの実施などを行ない、同時にその事業場で最も低い時給(1,000円未満)を一定額以上引き上げた中小企業・小規模事業者に対し、その経費の一部を助成します。助成額は、給料の引上げ額(30円~120円)に応じ、50万円~200万円まで上限設定されています。

<人事評価等改善助成金>

人事評価と賃金の制度整備を通じて、生産性の向上、賃金アップ及び離職率の低下を図る事業主に対し、50万円~130万円を助成します。

<キャリアアップ助成金>

有期契約社員、短時間労働者、派遣社員などの非正規雇用労働者のキャリアアップのため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対し助成します。中小・零細企業だけでなく、大企業も助成額は減額されますが、助成対象となります。

 

■仕事と家庭の両立できる環境を整備したい

<両立支援等助成金>

社員の仕事と家庭の両立支援や女性の活躍推進に取り組む事業主に対し助成します。助成金には、以下5つのコースが設定されています。

(1)介護離職防止支援コース
(2)出生時両立支援コース
(3)育児休業等支援コース
(4)事業所内保育施設コース
(5)再雇用者評価処遇コース

 

<働くパパママ育休取得応援事業(東京都)>

長期育児休暇取得を可能にするための東京都の助成金です。特に、男性向け「働くパパコース」では、母親に続き連続15日の育休取得で25万円。以降取得15日ごとに同額を加算という内容で、注目度が高いものとなっています。(但し、1社1名までで最大180日分、上限は300万円まで)

まとめ

予算の審議とともに、今話題となっている「働き方改革関連法案」の国会提出も予定されています。そうでなくとも人手不足の今日このごろ、社員の雇用環境整備は待ったなしの状況です。雇用環境の整備を進めていくのであれば、助成金をうまく活用していきたいものです。

執筆者

コンサルティング・ビジネス研究会 執筆チーム(中小企業診断士)

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