印刷業のみなさま、経営力向上計画を活用した設備投資を行っていますか?
『経営力向上計画』を作成することで、長期的な視点で自社の経営を見据えて、しっかりとした成長につなげていくことができます。『経営力向上計画』が認定されることで、設備の取得に係る税制措置として、法人税については即時償却又は取得価額の10%の税額控除が選択適用できる支援も受けられますので、この機会にぜひ経営力向上計画に取り組んでみましょう。
目次 |
1.印刷業の収益性と課題
2.適切な規模の投資を行うためには、しっかりとした計画をたてよう 3.営業ノウハウ蓄積やIT技術の教育訓練も実施して組織力の底上げを 4.まとめ |
現在の印刷業の多くは、その受注先が一般企業や官公庁、出版社などが占めています。都市圏のようなビジネスが集積している場所でのメリットが大きく、都市圏に存在する事業所数の上位の多くには印刷業が入ってきています。そうした印刷業では特定の受注先との結びつきが強いことも多く、新規の受注先を確保するのは容易ではありません。
印刷業の労働生産性を見てみると、全体としての傾向は、「製本」、「製版」、「製造」で相対的に低い傾向が続いています。
これからは単に設備投資を行うだけではなく、営業面の強化、企画力・デザイン力、小ロット対応なども含めてワンストップで提供する仕組みを構築して、他社と差別化出来るかは重要な課題と言えます。
事業領域別、指標の推移と中小企業の割合(オフセット印刷業(紙に対するもの))
出典:中小企業庁編「中小企業白書・小規模企業白書」(2020年版)」
設備投資資金については、投資内容に見合った受注先の確保と見通しが立っているか、法定償却期間内に返済可能かなどの観点から、慎重な経営判断が求められます。
そうした中で特に近年はデジタル印刷機の導入が注目されており、インターネットを介したWeb 受注等の仕組み作りなどを合わせて行うなど、社内の業務フローの効率化やIT人材の確保が求められます。
つまり設備投資だけではなく、社内業務の効率化や人材育成など組織全体を見据えた計画の立案が今後の収益性の確保につながります。
計画を立てるにあたっては、是非「経営力向上計画」を活用してみましょう。
経営力向上計画とは、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために策定・実施する計画です。
中小企業・小規模事業者や中堅企業は、「経営力向上計画」を申請、認定されることで、法人税について即時償却又は取得価額の10%の税額控除が選択適用出来ることや、各種金融支援を受けることができます。
経営力向上計画の作成を通じて、単に設備を導入するだけでなく、税制面や各種金融支援のメリットを享受しながら、人材育成、社内業務の効率化など、自社の経営力を向上することが期待できます。
経営力向上計画を作成するにあたっては、経営力向上の内容をまとめる必要があります。一例を挙げると「組織の活力の向上による人材の有効活用」「設備投資」「ITの導入等」などがあります。
印刷方式のデジタル化を進めるのであれば、受注窓口としての Webブラウザーからデータ入稿や印刷指示・発注し印刷物を制作・納入するシステムや社内ワークフローの構築など、営業面から社内業務まで総合的なIT利活用を検討していくことが有効です。
社内人材の育成についても、IT等新技術に対応できる人材を育成する、といった容易には出来ないことも、計画を立てて少しずつでも教育訓練やノウハウの共有を進めていきたいところです。
デジタル印刷への移行は小規模企業の方が容易ともいわれ、小ロット化への対応力からも検討を進めている企業も多いかと思います。
売り上げを拡大し収益性を高めるには、設備投資もより戦略的に行うことが同業他社との差別化を図るうえで重要な点になります。
そのために、設備投資を検討している印刷業のみなさま、是非「経営力向上計画」を活用してみましょう。
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小林隆三(中小企業診断士)
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