少子高齢化や通信技術の発達など企業を取り巻く環境は厳しさを増しています。このような環境の中、販路開拓や新商品・新サービスの開発を行わなければ企業の存続に関わってきます。販路開拓、新商品・新サービスの開発にかかる費用の一部について補助金を活用することで、費用を大幅に抑えることができます。
目次 |
1.販路開拓、新商品・新サービス開発の必要性
2.「小規模事業者持続化補助金」とは 3.「ふるさと名物応援事業補助金」とは 4.まとめ |
企業が販路開拓、および新商品・新サービスを開発するには多額の費用がかかります。市場調査や展示会出展などのイニシャルコストだけでなく、販路やネット通販システムの維持などのランニングコストもかかります。このような費用は企業にとって大きな負担になります。
企業をとりまく環境をみると少子高齢化や地方の過疎化が加速度的に進み、マーケットは急速に縮小しています。また、インターネットやSNSなどの通信技術の発達にともない、地域や国境を超えた情報提供や商品の販売が可能になりました。このように企業をとりまく環境が厳しくなる中、販路開拓や新商品、新サービスの開発を行わなければ売上が減少するだけでなく、企業の存続にも大きく関わってきます。そこで、多額の費用がかかる販路開拓や新商品・新サービス開発の費用の一部について、国や地方自治体の補助金を活用することにより、費用を大幅に抑えることができます。
ここでは小規模事業者を対象にした「小規模事業者持続化補助金」と各地域の農林水産物や観光資源を活用する中小企業者を対象にした「ふるさと名物応援事業補助金(地域資源活用事業)」の2つをご紹介します。
「小規模事業者持続化補助金」とは、小規模事業者が経営計画に基づいて実施する販路開拓や業務効率化(生産性向上)の取り組みに対する補助金です。
小規模事業者とは常時使用する従業員が5名以下の事業者(サービス業のうち宿泊業・娯楽業、および製造業は20名以下)になります。
販路開拓の取り組みとしては、新商品を陳列するための棚の購入、ネット販売システムの構築、新商品の開発や商品パッケージ(包装)の改良などがあります。また、業務効率化(生産性向上)の取り組みとしては、従業員の作業導線の確保や整理スペースの導入のための店舗改装、ソフトウェアやPOSレジ導入などのIT利活用があります。
例えば、LINEやFacebookなどのSNSを活用した広告にかかる費用にも活用できます。また、年々増加している外国人旅行者向けの新商品開発やキャッシュレスに対応したレジの導入などにも活用できます。
販路開拓や業務効率化は費用がかかり、特に開業したての小規模事業者には大きな負担になります。「小規模事業者持続化補助金」を活用して広告費やIT導入費用を抑えることができます。
「ふるさと名物応援事業補助金(地域資源活用事業)」とは地方の資源を活用し新商品、新サービスの開発、販路開拓を行うための補助金です。
新商品、新サービスを開発するための市場調査、研究開発、展示会の開催や出展などの費用が補助の対象になり、一般型、小規模企業者型、応援宣言型の3種類あります。
この補助金を申請するには事前に「地域資源活用事業計画」の認定を受ける必要があります。
地域資源活用事業とは、地域の中小企業者が共通して活用することができる地域産業資源(農林水産物、生産技術、観光資源)を活用して、中小企業者が商品の開発・生産、サービスの提供、需要の開拓等の事業を行うことをいいます。
認定の要件は1.都道府県が指定する地域資源を活用した事業であること、2.地域資源の新たな活用の視点が提示されていること、3.域外への新たな需要があり、相当程度の開拓が見込まれるものであることの3つになります。
平成29年度予算「ふるさと名物応援事業補助金(地域産業資源活用事業・小売業者等連携支援事業)」では補助金の交付先として193件が採択されました。
例えば愛媛県では真鯛を活用した長期保存可能なチルド商品の開発・製造・販売事業や内子町の地域産業資源「八日市護国地区町並」「石畳地区村並み」「内子座」を活用した富裕層向けの旅行ツアー事業が採択されました。
少子高齢化、地方過疎化の進行や通信技術の発展など企業をとりまく環境は厳しさを増しています。一方、外国人旅行者の増加やECサイトを活用し地域外や国外の顧客への販売が可能になったことはビジネスチャンスでもあります。ぜひ、補助金を活用して販路開拓や新商品・新サービスの開発をしてみませんか。
安野 元人(中小企業診断士)