事業再構築補助金も、次回の公募で第11回を迎えますが、今年から採択者という名称が、補助金交付候補者に変わり、採択の取り消しや、補助対象経費の一部を否認されるケースも散見され、採択後のリスクが高まっています。
そのため、採択後もしっかりとした事務手続きを行うことが益々重要になっています。そこで、様々な事例から採択後に注意するポイントをお伝えしていきます。
目次 |
1.補助金採択後の流れ 2.まとめ |
事業再構築補助金をはじめとする補助金制度の大半が、採択されただけでは補助金を受け取る事ができません。原則は、先に経費を使ってから補助金特有の手続を経て、ようやく補助金を受け取ることができます。採択後は、大きく分けて以下4つの手続きがあります。
①交付申請
②実績報告
③精算払請求
④事業化状況報告(補助金受け取り後5年間)
【補助金交付申請者の採択後の流れ】
①交付申請
どこに・何を・いくらで発注するか、を決める手続きとなります。大半の手続きが、見積書を集めることになりますが、非常に多くの不備を指摘され、場合によっては補助対象経費として否認されることもあります。
補助対象経費であるか、否かは事業計画の内容とも連動しますが、補助事業以外に、既存事業での活用が見込まれる経費については原則認められない傾向が増えています。例えば、既存事業と同じ実施場所でトイレの改修などを行うと、既存事業で使用すると見なされ補助対象経費を否認されることがあります。
〇見積書
機械設備などは「銘板」に記載の「型番」を記載する必要があり、その「型番」と、「見積書の型番」が異なっていると、不備扱いとなるケースがあります。
〇相見積書
相見積りがとれない場合は、業者選定理由書を提出するという手続きもありますが、原則認められないことが多いです。相見積書を取ることは必須として、準備をしたほうが良いでしょう。
〇事前着手
交付申請手続きが、事務局側で滞っており、想定以上に連絡が来ません。交付申請後、時間を要した事例だと、初回の連絡が3か月、その後修正を経て、交付決定まで8か月かかったケースもあります。そのため、事前着手は、漏れなく申請した方が無難です。なお、事業再構築補助金の第10回以降は、事前着手は一部の申請枠のみでしか認められないため、注意が必要となります。
【注意ポイント】
交付申請時の注意のポイントについて事務局は「よくある交付申請の不備」という手続き資料を以下の通り、提示していますので、ご参考ください。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/documents/kofu_shinsei_fubi06.pdf
②実績報告
発注・納品・支払いを完了したことを報告する手続きとなります。
【注意ポイント】
実績報告時の注意するポイントについて以下に記載します。
〇初回申請が重要
実績報告は交付申請の内容と異なった報告をすることは良いとされません。事務局から指摘された場合は、ひとつひとつ「理由書」で説明を求められます。
〇証拠書類の日付
最も注意を要するものは証拠書類の発行日です。見積依頼書<見積書・相見積書<注文書<注文請書<納品書(検収書)<請求書という順番が原則となります。この日付を誤って記載してしまった場合、その理由書の提出が求められます。日付が補助対象期間外の場合は補助対象外と見なされますので注意してください。一方、事前着手を申請している場合は交付決定前に注文(発注)などを行うことができます。
〇注文書以降の証拠書類
注文書以降の証拠書類については、見積書と同じ明細でないと認められません。明細は見積書と全く同じ内容で記載するようにしましょう。
〇納品書・検収書
納品書に記載する事業実施場所の記載誤りは不備扱いとなります。また、検収書については納品書へのサインで「可」となっていますが記載する日付は納品日以降となっているか注意が必要です。
〇振込日
事前着手制度を活用しないで交付決定を受けた場合、交付決定後に注文する必要があります。手付金などを交付決定前に振込むと、交付決定前に発注したとみなされ、その補助対象経費が否認されるケースがあります。原則、振込みは後戻りができないため、振込日に問題がないかをよく確認してから実行してください。
〇振込み
振込みしたことの証明については、以下のの2点が必要ですので、ご確認ください。
・自社の口座から振込みをしたこと
・請求書に記載の口座に振込みをしたこと
口座の入出金明細だけでは、金額を引き出した確認のみであるため、振込明細書等も必要となります。銀行によっては、振込明細書を後日発行できない場合もあるので、必ず保管するようにしましょう。
〇振込手数料
振込手数料は原則、自己負担としてください。もし、振込手数料を注文先会社の負担として支払った場合、その金額を対象経費から控除して算出する必要があり、補助金額が下がりますので注意が必要です。
③精算払請求
口座番号を入力して補助金額を請求する手続きですので、事務局からの指摘事項は見受けられません。
④事業化状況報告
補助金が入金された後、基準年度及びその後5年間、計6回の事業化状況報告も必要となります。現在の取組み状況を説明する調査票や、以下の書類が求められます。
・決算書類(損益計算書・貸借対照表・製造原価報告書・販管費及び一般管理費明細書)
・労働者名簿
・賃金台帳
以上のように、全て完了するまで一貫して注意を要します。コンサルティング・ビジネス研究会では、補助金の申請だけではなく、①交付申請~④事業化状況報告まで、ご要望に応じて支援させて頂いております。中小企業の皆様に事業計画の作成や補助金の申請を積極的に支援しています。ものづくり補助金等の採択の支援実績は、550社以上! 是非お気軽にご相談ください。
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