ピンチをチャンスに!事業再構築補助金を活用しよう

 令和3年最大注目の補助金である事業再構築補助金の公募が始まりました。中小企業や中堅企業の思い切った事業再構築を支援する返済不要の補助金です。ポストコロナに向けて新しい取り組みを始めようとする中小企業の皆さんは、是非ともこの補助金の活用をご検討ください。

目次
1.事業再構築補助金の概要と対象企業

2.事業再構築補助金の申請要件

3.中小企業にとってのポイント

4.まとめ

1.事業再構築補助金の概要と対象企業

 事業再構築補助金とは、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済変化に対応するために

新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する補助金です。また、事業再構築を通じて事業規模を拡大し、中堅・大企業への成長を目指す中小企業や、海外展開を強化し市場の新規開拓を狙う中堅企業への支援も盛り込まれています。
 事業再構築補助金の補助総額は1兆1,485億円で、55,000件もの企業の採択が想定されています。その補助金額は1社につき100万円~最大1億円。

とても規模の大きい補助金であると言えます。

 主な企業区分、申請枠、補助金、補助率は以下のとおりです

主な企業区分 申請枠 補助金 補助率
中小企業者等

製造業他:資本金3億円以下or従業員300人以下

卸売業 :資本金1億円以or従業員100人以下

小売業 :資本金0.5億円以下or従業員50人以下

サービス業:資本金0.5億円以下or従業員100人以下

通常枠 100~6,000万円 2/3
緊急事態宣言特別枠 100~1,500万円※

※従業員数に応じて上限金額が変更

3/4
卒業枠 6,000万円~1億円 2/3
中堅企業等

中小企業に入らない資本金10億円未満

資本金、出資総額が定められていない場合、従業員数

2,000人以下

通常枠 100~4,000万円

4,000万超~8,000万円

1/2

1/3

緊急事態宣言特別枠 100~1,500万円 2/3
グローバルV字回復枠 8,000万円~1億円 1/2

 

 

2.事業再構築補助金の申請要件

 事業再構築補助金の申請要件は以下のとおりです。

 

1.売上の減少:申請前の直近6ヶ月間の内、任意の3ヶ月の売上高が2019年及び2020年1~3月の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少している。

2.事業再構築に取り組む

事業再構築指針に沿った事業再構築:新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う。

3.認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

事業再構築に係わる事業計画を認定革新等支援機関と策定する。

 

 事業再構築の各類型と必要となる要件は以下のとおりです。

事業再構築の類型 各類型の定義 必要となる要件
新分野展開 主たる業種や事業を変更することなく、新たな製品等を製造等し、新たな市場に進出すること ①製品等の新規性要件、②市場の新規性要件、③売上高10%要件
事業転換 新たな製品等を製造等して、主たる業種を変更せず、主たる事業を変更すること ①製品等の新規性要件、②市場の新規性要件、③売上高構成比要件
業種転換 新たな製品等を製造等して、主たる業種を変更すること ①製品等の新規性要件、②市場の新規性要件、③売上高構成比要件
業態転換 製品等の製造方法等を相当程度変更すること 製造方法の変更の場合 ①製造方法等の新規性要件、②製品の新規性要件、④売上高10%要件
提供方法の変更の場合 ①製造方法等の新規性要件、②商品等の新規性要件又は設備撤去等要件、④売上高10%要件
事業再編 会社法上の組織再編行為等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業展開、業種転換又は業態展開の何れかを行うこと ①組織再編要件、②その他の事業再構築要件

出典:事業再構築指針の手引き(1.1版)

 補助対象経費には、以下の経費が含まれます。

建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス、利用費、外注費、知的財産等関連経費、広告宣伝費・販売促進費、研修費、海外旅費(卒業枠・グローバルV字回復枠のみ)

 

3.中小企業にとってのポイント

 前述の通り「事業再構築」とは「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」または「事業再編」の5つを指し、本補助金に申請するためには、これら5つのいずれかに該当し、合理的で説得力のある事業計画を、認定経営革新等支援機関とともに策定する必要があります。

 このうち、「新分野展開」は以下の要件を満たせばよく、比較的多くの中小企業等にとってチャレンジしやすくなっています。

・新事業で提供する製品・商品やサービス(以下「新製品」)」について、過去提供した実績がないこと

・新事業のために建物の新築改装や専用の設備導入を行うこと

・新製品が、これまでの製品等に比べてまったく別のものか、性能などが異なること

・既存製品の顧客ニーズを新製品で置き換えるものではないこと

・3~5年後に、新製品の売上が会社全体の売上の10%以上になること

 要は、「建物の新築・改築や設備投資を行って、新製品や新サービスの提供にチャレンジし、一定の売上が見込める」事業であれば、新事業展開として本補助金の対象になる可能性がありますので、自社で取り組む余地はないか検討してみてください。

 

 また、本補助金では令和3年1月の緊急事態宣言によって深刻な影響を受けた中小企業等を対象に、「緊急事態宣言特別枠」が設けられています。緊急事態宣言特別枠は、補助額の上限が最大500万円~1,500万円(従業員数によって異なります)と通常枠に比べて低めですが、

① 補助率が通常枠に比べて引き上げられる(中小企業の場合3/4)

② 緊急事態宣言特別枠で不採択になっても通常枠で再審査される

など、メリットの大きい内容です。

まとめ

 本補助金の一次公募は5月7日で締め切られましたが、今後も4回程度の募集が予定されています。他の補助金と比べても、補助上限額が大きい点、また建物の建築・改築などの費用が認められる点など、本補助金は魅力的な制度になっています。
 コロナ対応として新事業に取り組まれる事業者の方は、事業再構築補助金の活用を是非、ご検討ください。

執筆者

岡本 賢(中小企業診断士)

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