予算額1兆円超というかつてない規模で話題の「事業再構築補助金」。新型コロナウイルス感染症による経営への打撃を乗り越えるため、検討中の方は多いと思います。
そこで、事業再構築補助金の申請に向けて、最初にやるべきことを解説します。
目次 |
1.事業再構築補助金とは
2.事業再構築補助金の申請要件を確認しよう 3.GビズIDプライムアカウントを取得しよう 4.まとめ |
事業再構築補助金とは、
ウィズコロナ・ポストコロナ時代の変化に対応するため、思い切った事業再構築に挑戦する企業を支援する補助金です。補助対象者は中小企業と資本金10億円未満の中堅企業など
です。
申請する際は、
「通常枠」「卒業枠」「グローバルV字回復枠」「緊急事態宣言特別枠」の4つの事業類型のいずれかを選択します。事業類型によって、補助額、補助率、補助事業実施期間、補助対象経費などが決まります。中小企業者が通常枠で申請する場合、補助額は100万円~6,000万円、補助率は2/3
です。
事業再構築補助金は、「建物費」が補助対象経費に含まれるのが特徴です。たとえば、居酒屋からオンライン専用の弁当宅配事業に転換する場合、店舗縮小にかかる建物改修費用も対象となります。
図表1 補助対象事業の補助率等の例(「通常枠」の場合)
(出典:中小企業庁「令和二年度第三次補正 事業再構築補助金 公募要領(第1回)1.3版」)
事業再構築補助金の申請に向け、まずは申請要件を確認しましょう。
主な申請要件は、(1)、(4)付加価値額または従業員一人当たり付加価値が一定以上増加する事業計画とすることです。
(1) 売上減少要件
まず、申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(年1月~2020年3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少しているかを確認します。
(2) 事業再構築要件
事業再構築とは、「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」「事業再編」の5類型のいずれかに該当する取組のことで、どの類型に該当するかを事業計画で示す必要があります。
たとえば、
新分野展開(主たる業種または主たる事業を変更することなく、新製品・新サービスを製造・開発し、新たな市場に進出する取組)で申請するには、「製品等の新規性」「市場の新規性」「新製品等の売上高が10%以上」――を事業計画で示す必要があります。
具体的にどのようなケースが該当するかは、中小企業庁が公表している「事業再構築指針の手引き」でご確認ください。
図表2 新分野展開に該当する例
(出典:中小企業庁「事業再構築指針の手引き(1.1版)」)
(参考)中小企業庁ホームページ「事業再構築補助金」
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html
(3) 認定支援機関要件
事業計画は、認定経営革新等支援機関と相談のうえ策定する必要があります。特に、補助金額3,000万円を超える事業計画は、金融機関および認定経営革新等支援機関と共同で策定する必要があります(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば、当該金融機関のみでも可)。
認定経営革新等支援機関は中小企業庁ホームページでご確認ください。
(参考)認定経営革新等支援機関検索システム
https://ninteishien.force.com/NSK_CertificationArea
(4) 付加価値額要件
事業計画では、設備の購入等を行う「補助事業」終了後3~5年で、付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)または従業員一人当たりの付加価値額が年率平均3%以上増加すること等を見込む必要があります。
以上の申請要件は、事業類型によって細部に違いがあり、また、他の要件が必要となる場合があります。必ず最新の「公募要領」でご確認ください。
(参考)事業再構築補助金事務局ホームページ
申請要件の検討と並行して、
「GビズIDプライムアカウント」を取得しましょう。事業再構築補助金の申請(電子申請のみ)では、GビズIDプライムアカウントが必須のためです。発行に3週間以上要する場合があるようですので、未取得の方は速やかに利用登録をしてください。
GビズIDプライムアカウントが未取得でも、
第1回公募では「暫定GビズIDプライムアカウント」(以下「暫定プライムアカウント」といいます)で申請が可能です。暫定プライムアカウントは申請書等の郵送や審査を事後に行うことを条件に、最大48時間程度(土日祝日を除く)で発行されます。暫定プライムアカウントの作成は、GビズIDプライムアカウントの作成ページで行います。
注意点は、
採択後の交付申請以降の手続きでは、GビズIDプライムアカウントが必要であることです。暫定プライムアカウントで申請した場合も、GビズIDプライムアカウントの取得手続きを進めてください。
事業再構築補助金を検討中の方は、まずは申請要件を確認し、GビズIDプライムアカウントを取得しましょう。CB研では申請要件のチェックに便利な「チェックシート」を用意していますので、ぜひご活用ください。
事業再構築補助金は5回程度の公募が予定されています。申請要件は変更されることがありますので、申請の際は最新の公募要領等をご確認ください。
箱山玲(中小企業診断士)
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