中小企業新事業進出補助金とは?概要、要件、申請方法などをわかりやすく解説

新規事業進出補助金の概要。補助金額は最大9千万円。初めてでも安心。100名を超えるコンサルタントがサポートします。

最終更新日:2025年6月21日

中小企業新事業進出補助金とは


新規事業として、新市場・高付加価値事業への進出を目指す中小企業を対象に、機械設備やソフトウェアの購入経費等の1/2を補助する制度です。事業再構築補助金の後継として創設された補助金です。

PDF:中小企業新事業進出補助金チラシ

 

企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業が対象となります。補助対象経費として機械装置・システム構築費だけでなく、建物費も対象に含まれています。
補助上限額は企業規模(従業員数)により異なりますが、従業員20人以下で2,500万円、従業員101人以上で7,000万円(さらに賃上げ特例を満たす場合には金額を上乗せ)と、ものづくり補助金等と比較すると大きな金額となっており、思い切った大型投資で新規事業にチャレンジする企業を後押しする制度と言えるのではないでしょうか。

対象企業 新規事業への進出を図る中小企業
対象業種 製造業、卸売業、小売業、飲食業、サービス業、宿泊業など
補助上限額 9,000万円(企業規模等により異なる)
補助下限額 750万円
補助率 1 / 2
補助事業期間 交付決定日から14か月以内 (ただし採択発表日から16か月以内)
対象経費 建物費、構築物費、機械装置・システム構築費等

「大幅賃上げ特例適用事業者」には、補助上限額を拡大する措置も設けられています。大幅賃上げ特例とは具体的には、以下の2点です。

  1. 事業計画期間終了時点で、事業場内の最低賃金で働く従業員の給与が地域の最低賃金+50円以上を達成すること
  2. 事業計画期間終了時点で、給与支給総額が、事業計画開始時点と比較して、+6%を達成すること

企業規模ごとの特例適用する場合、しない場合の補助上限額は、以下の通りです。※右側が特例適用後

  • 従業員数20人以下:2,500万円 → 3,000万円
  • 従業員数21~50人:4,000万円 → 5,000万円
  • 従業員数51~100人:5,500万円 → 7,000万円
  • 従業員数101人以上:7,000万円 → 9,000万円

 

スケジュール


第1回の公募スケジュールは以下の通りです。

  • 公募期間 : 2025年4月22日~7月10日
  • 申請受付開始:2025年6月17日
  • 採択結果発表:2025年10月頃

画像出典:中小企業新事業進出補助金WEBサイト

補助対象となるための要件


補助を受けるためには、さまざまな要件をクリアしなければなりません。

(1)新事業進出要件

新事業進出指針に示す「新事業進出」の定義に該当する事業であること。

具体的には、①製品等の新規性要件(新しい製品・サービスの開発に取り組むこと)、②市場の新規性要件(既存事業では対象としていなかった顧客層を狙うこと)、③新事業の売上高要件(事業計画終了時に新規事業の売上高が全体の10%以上を占めること)が、求められます。

(2)付加価値額要件

付加価値額の年平均成長率が4%以上である事業計画を策定すること。

付加価値額とは「営業利益」+「人件費」+「減価償却費」の合計を指します。また、「年平均」の成長率が4%以上とは、事業計画終了年度の付加価値額が、事業計画前と比べて4%以上になっていればよく、事業計画の途中の年度の推移は問いません。(最終年度に一気に成長する計画であっても要件は満たす)

(3)賃上げ要件

給与支給総額の年平均成長率が2.5%となるよう給与を支給すること。または最低賃金の伸び率以上に給与支給総額を増加させること。(なお、直近5年間の最低賃金の伸び率は一番低い東京・神奈川でも2.8%であり、実質2.5%の成長率を目指すことになります)

なお、賃上げ目標を達成できなかった場合は、補助金返還を求められるため、注意が必要です。

(4)事業場内最賃水準要件

事業計画期間中の事業場内最低賃金が地域別の最低賃金よりも、+30円以上高い水準であること。

補助金の交付を受けた場合、この要件の達成状況を確認するため、補助金事務局に対して、毎年賃金台帳を提出することが必要になります。さらに、賃上げ要件と同様、この要件も未達の場合は、補助金返還を求められることになります。

(5)ワークライフバランス要件

次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等していること。

(6)金融機関要件

補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること。

 

対象となる経費


(1)機械装置・システム構築費

以下の経費が対象になるとされています。(公募要領より抜粋)
① 専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費
② 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入、構築、借用に要する経費
③ ①または②と一体で行う、改良、据付け、または運搬に要する経費

「専ら補助事業のために使用される」ことが条件であるため、「既存事業にも使える」ような設備は補助対象外とされる点には注意が必要です。

リースやレンタルも条件付きで認められます。また、3社以上からの相見積もりを取得している場合は、中古設備も対象に含められます

 

(2)建物費

以下の経費が対象になるとされています。(公募要領より抜粋)
① 専ら補助事業のために使用される生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、作業場、その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費
② 補助事業実施のために必要となる建物の撤去に要する経費
③ 専ら補助事業のために使用される建物に付随する構築物の建設に要する経費

こちらも、「既存事業にも使える」建物は補助対象外となります。機械装置・システム構築費と異なり、入札または相見積もりが必須とされている点にも注意が必要です。

なお、機械装置・システム構築費、または建物費のいずれかが必ず補助対象経費に含まれている必要があります。

 

(3)その他

以下のような経費が対象となります。

  • 運搬費:運搬、宅配、郵送料
  • 技術導入費:知的財産権の導入に要する経費
  • 知的財産権等関連経費:特許権等の取得に要する弁理士の手続代行費用など
  • 外注費:検査等・加工や設計等の一部を外注する場合の経費
  • 専門家経費:学識研究者、コンサルタント等、専門家に支払う経費
  • クラウドサービス利用費:クラウドサービス利用に関する経費(自社の他事業と共有する場合は対象外)
  • 広告宣伝販売促進費:新事業に必要な広告の作成・媒体掲載、WEBサイト作成など

 

申請方法


新事業進出補助金の申請は、電子申請システムから行います。申請には、GビズIDプライムアカウントが必要となることから、未取得の方は早めにID取得の手続きを行いましょう。(通常、手続きには1週間程度を要します)

 

審査方法


(1)書面審査
企業が提出した事業計画書をもとに審査が行われます。既存事業の内容を踏まえつつ、「なぜ新規事業に取り組む必要があるか」、「新規事業はなぜうまくいくといえる根拠」、「国の補助を受けることの妥当性」などを説明することが求められていると言えます。

事業計画テンプレートは、事務局のWEBサイトに公開されています。申請の際には、J-Grantsの電子申請システムに打ち込んでいくことになりますが、項目数が多数にわたるため、電子申請前にテンプレートを活用して、下書きをしておく必要があります。

 

【事業計画に含めるべき項目】

  1. 新規事業の概要
    1. 事業計画名
    2. 事業計画の概要
  2. 自社の現在地を知る
    1. 申請者の概要
    2. 既存事業の内容
      1. 事業の名称
      2. 主な製品/サービスの名称
      3. 主な製品/サービスの内容
      4. 市場(顧客層)
      5. 単価や売上高
      6. 実施体制
      7. 事業実施場所
    3. 既存事業の業種
  3. 自社の未来を描く
    1. 補助事業の取組内容
      1. 新事業進出指針への該当性
        1. 主な製品/サービスの名称
        2. 主な製品/サービスの内容
        3. 市場(顧客層)
        4. 単価や売上高
        5. 実施体制
        6. 事業実施場所
      2. 新規事業の業種
    2. 【連携体申請の場合のみ記入】連携体の必要性
    3. 現状分析
      1. 米国の関税措置による影響
      2. 米国の関税措置の具体的内容
      3. SWOT 分析
      4. 新規事業の必要性
    4. 新規事業の新市場性・高付加価値性
    5. 新規事業の有望度
      1. 新規事業の将来性・参入可能性
        1. 新規事業の将来性
        2. 許認可・資格等の要否
        3. 許認可・資格等の取得方法
        4. 参入障壁と対応策
        5. 潜在顧客リスト
      2. 競合分析
        1. 競合分析の考え方と選定方法
        2. 競合他社の概要
        3. 差別化の可能性
    6. 事業の実現可能性
      1. 事業化に向けた課題
      2. 事業化までの遂行方法
      3. スケジュール
      4. 事業実施体制の概要
      5. 事業実施体制の検討状況
      6. 体制(人材の確保)
      7. 【該当時】社外リソース活用
      8. 資金調達表
      9. 従業員の解雇の有無
      10. 解雇時の再就職支援詳細
    7. 公的補助の必要性
      1. 補助事業の公共性(任意)
      2. 地域貢献性(任意)
      3. 公的補助の必要性
    8. 政策面
    9. 補助対象予定経費
    10. 収益計画
      1. 収益計画
      2. 賃金計画
      3. 収益計画等の妥当性
      4. 【賃上げ特例時のみ】大規模賃上げ計画の妥当性

 

記載例も掲載されていますので、参考にしてみてください。
事業計画書記載例

 

(2)口頭審査
書面審査を通過した企業のみ、口頭審査(面接)が行われます。オンライン(Zoom等)で時間は15分程度のため、そこまで突っ込んだ質問がされることはないと予想されます。ただし、外部のコンサルタントが同席することはできないため、一定程度の準備は必要になるでしょう。

 

審査のポイント


公募要領には、「審査項目」として、審査でどのような点がチェックされるか、要素が列挙されています。これらの要素に触れないと審査で得点が入りません。事業計画書作成の際には必ず審査項目を確認し、取りこぼしの無いようにしましょう。

また、以下の項目を満たす場合は、審査で加点されます。取れそうな認定がある場合は、計画的に手続きを進めておきましょう。

 

申請準備にあたっては専門家の支援がおすすめ


ここまで述べてきたように、中小企業新事業進出補助金では、細かな条件があって公募要領の読み込みだけでも一苦労です。さらに、審査項目も確認しながら事業計画を作成する必要もあります。本業を抱えながら、企業経営者や担当者が準備をするのは非常にハードルが高いと考えられます。

さらに、「せっかく審査は通ったが、その後の事務手続きも大変で、補助金交付を辞退した」、「目標が達成できず、補助金返還が必要になってしまった」というケースもしばしば起こっています。

補助金申請に強い、実績のある中小企業診断士のアドバイスもうまく活用しながら、準備を進めるとよいでしょう。

 

参考資料

 

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