生産性をあげるための設備投資で補助金を活用しよう!

「現在の設備と人材では、売上を伸ばすのに限界がでてきた」「生産性をあげるにはどうすればいいのか?」「設備を買い換えるには、資金が足りないし、借入れも検討しなくては」

このように考えている経営者の方も多いのではないでしょうか。中小企業の経営者であれば一度は抱えた事がある悩みです。こうした状況で有効に活用できる補助金として「ものづくり補助金」があります。

生産性をあげるための設備投資 ものづくり補助金

目次
1.ものづくり補助金とは

2.ものづくり補助金を得るまで

3.ものづくり補助金の対象経費

4.ものづくり補助金の申請時のポイント

1.ものづくり補助金とは

<ものづくり補助金の活用場面>

生産性を上げたいが、設備を購入する資金が足りない」「ワンランク上の最新の設備を購入したい」、このような場合に、活用できるのが、この補助金です。例えば、機械を購入するにも多額の費用がかかるものです。購入後は会社の資産として減価償却をしていきますが、機械を手に入れるために、数百万から数千万の支出を伴うことがあります。機械を購入する際に、そのための資金があるとは限りません。金融機関からの借入れもスムーズに行くかどうかもわかりません。また、製造業を営んでいる経営者が、人員を増やすことは出来ないが、生産性を上げることでその問題を解決したいと考えている。こんなケースが考えられます。

<ものづくり補助金の魅力とは>
補助金は、申請し採択される必要はあるものの、融資のように返済する必要はありません。ものづくり補助金は、政府が毎年多くの予算を割いており、数千万円の補助が受けられることで注目されています。例えば、1,000万円の補助金と1,000万円の借入れで2,000万円の設備を購入するといったことも可能になるのです。ものづくり補助金は、補助金額が大きいこともあり、最先端の機械を購入し、生産性を上げることも可能です。

2.ものづくり補助金を得るまで

<ものづくり補助金の申請手続き>

ものづくり補助金を受けるためには申請が必要です。申請のためのフォーマットや公募要領が中小企業庁で紹介されていますので、何を記載しなければいけないのか把握するために、その内容を確認しておくと良いでしょう。

まず、補助金の対象事業者にあてはまっているか、補助金の対象となる経費はなにか、などを確認しておくことです。すべてのものに対して補助金の対象というわけではありませんので、確認が必要です。

続いて、補助金の申請後、無事に採択結果を受け取ってから、つまり補助金を受ける権利を得てからの流れとなります。

はじめに、交付申請書を事務局へ提出します。交付申請をして、交付が決定してから、申請時に提出している内容で事業をスタートさせる必要があります。交付決定前に事業をスタートすることはできませんし、勝手に内容を変更する事もできません。必ず申請時の内容で交付決定後に実施する必要があります。

次に、事業がスタートしたら、補助金で対象とする経費の証拠書類は確証はしっかりと保管しておく必要があります。金額などが確認できるもののみが有効です。これは、不正に利用していない事などの証明になります。注意して欲しいのは、この段階ではまだ補助金を受け取っていないという点です。この後、事業の実施や実績報告を行い、申請された事業に対して、お金が使われたということを確認する確定検査が行われます。

補助金の対象となるのは、指定された期間に事業が行われ、つまり、発注、納入、検収、支払などのすべての手続きに関しても、この期間内であることが必要です。このような流れで、補助金を受け取るまで進んでいきます。

ここで問題になってくるのが「対象となる経費」の範囲についてです。すべてが対象の経費になるというわけではありません。そこで次に触れておきたいのは対象となる経費の範囲についてです。

3.ものづくり補助金の対象経費

<ものづくり補助金の対象経費は何がある?>
まずはじめに気を付けなくてはならないのは、補助事業のために用いられている経費は、その経費が他の経費と混在することなく明確に分けられていることが必要です。他の事業とは、区別して管理を行ってください。具体的な経費には、以下のようなものがあります。

①機械装置費

機械装置等(補助事業のために使用される機械・装置、工 具・器具、専用ソフトウエア)の購入、製作、借用、それに伴う改良・修繕又は据付けに要する経費。

②技術導入費

本事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費、ただし、知的財産権を所有する他者から取得(実施権の取得を含む)する場合は書面による契約の締結が必要。

③専門家経費

本事業遂行のために必要な謝金や旅費として、依頼した専門家に 支払われる経費。ただし、専門家経費支出対象者には、技術導入費、外注加工費及び委託費を併せて支出することはできません。専門家としては、スマートものづくり応援隊、IT コーディネータ等の専門家の活用が想定されます。

④運送費

運搬料、宅配・郵送料等に要する経費

⑤クラウド利用費

クラウドコンピューティングの利用に関する経費(機械装置費を 除く)。ただし、補助事業のために利用するクラウド利用費で、自社の他事業と共有利用する場合は補助対象となりません。また、クラウド利用にかかる経費のうち、サーバーの領域を借りる費用 (サーバーの物理的なディスク内のエリアを借入、リースを行う費用)、サーバー上のサービスを利用する費用等が補助対象経費となります。サーバー購入費・サーバー自体のレンタル費等は対象になりません。サーバーの領域を借りる費用は、見積書、契約書等で確認できるもので、補助事業期間中に要する経費のみとなります。契約期間が補助事業期間を超える場合の補助対象経費は、按分等の方式により算出された当該補助事業期間分のみとなります。

この他にも事業の類型がいくつかに分かれていて、「小規模型」でのみ対象となる経費もありますし、補助上限額の条件が異なってくるものがあります。このあたりは、公募要領で確認してみる必要があります。事業実施期間は、意外に短いため、速やかに申請ができるよう書類を揃えておく必要があるのはいうまでもありません。

.ものづくり補助金の申請時のポイント

<実際に受け取った経営者は何を書いている?>

実際に補助金を受け取った経営者が何を書いて申請したのか、その点は非常に気になる所です。やみくもに申請書を記入していたのでは、採択されるのは難しいということになります。申請書を評価する人は、業界に多少なりとも知識がある人と考えたほうがよいでしょう。申請を出す際に、難しい用語を多用しすぎるものよくありませんが、あまりに中身の薄いものを書いても問題になります。対象とする設備の構造など詳細な仕様を記載している場合もあれば、画像や図示によりわかりやすくしているものもあります。アピールの仕方にも趣向を凝らしていう必要があります。例えば、製造業で最新の機械を購入し、どのくらいの生産性がアップすることを望めるのか、また、それがある事により新しく何ができるのかなどについて記載しておくと、より評価は高くなります。

現状把握と自社の強み、それと同時に課題を把握し、その設備があればその課題はどのように克服できるのか、どのくらいの効果があがるのか、その点を明確に記載できるかできないかが、採択の分かれ目となります。その機械がない現状と比較して、その設備があればどうなるのかという事をしっかりとアピールする必要があります。「あってもなくても同じ」というあいまいな申請書の内容では、その設備投資を行う価値はないと判断されてしまうのです。 課題を知ること、会社の弱点を知ること、それを把握してこそプラスに転じることが出来るのです。

その他、ものづくり補助金の審査で加点措置が行われています。それは、なにかというと、「経営革新計画」や「経営力向上計画」などの承認(申請中を含む)を受けている場合です。これらを事前に提出することで、他の申請にくらべて有利となります。こうしたものをあわせて作成することもお勧めします。

 

<具体的なアピール方法の流れ>

導入する機械設備の説明をするだけでは、なかなか、その有効性をわかってもらうことはできません。「取引先からの要望で、今までと違ったものが含まれるようになってきた」という顧客のニーズをふまえ、「その要望に応えるには、現状では足りないものがある」という課題を設定します。どういった課題なのかを具体的に示し、何のためにその機械が必要なのかをアピールする必要があります。そして、「この課題を解決するには、新しい機械を導入することで解決ることができる」という流れになります。解決できる内容について具体的に記載するとともに、効果などを数値を使って定量的に示すことができれば、より説得性が増します。その他、「なぜ自分の会社にその機械があればいいのか、違う会社ではだめなのか(優位性)、社会に貢献できるのか」などの観点から記載するとベストです。そして、自社の経営課題に対しても有効であることを明確に記載していくことも大切です。

 

<経営課題の解決、将来の事業計画をアピールすることが大切>

現状は、顧客や市場のニーズに応えられていない状態であるとして、これは、経営面から見て機会損失となっていることになります。こうした損失が経営にどのような影響を与えているのかを明確にしておく必要があります。これが経営からみた見た自社の課題であり改善しなければいけない点です。

これに対して、改善が出来ればどのくらいの効果が見込めるのかが重要となってきます。ここは、推定であったり、概算であったりの計画にならざるをえない面もありますが、こうした見込みや計画がなければ、達成することもできません。数千万円の機械を導入しその効果がわからないといったことでは、補助金という名の税金を使用するわけですから「果たして大丈夫なのか」という疑問符がついては、採択されないという結果になってしまいます。

会社を経営していく中で、経営者が計画性をもってのぞむことが大前提となっています。補助金が採択され、受け取りをした後も5年間にわたり、毎年成果の報告をしなければいけません。どのくらいの効果があったのかを常に把握し、今の自分の会社の状態がどういった状況にあるかを的確に把握していることが重要になってくるのです。補助金を通じて、顧客や市場のニーズに応えていくだけではなく、自社の経営課題の解決、自社の経営にも役立ってきます。資金を得られるというだけでなく、こうした観点でも補助金を有効活用していくことはよいことでしょう。

執筆者

コンサルティング・ビジネス研究会 執筆チーム

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