設備投資をする際に一番頭を悩ますのが、無事資金を調達できるかどうかということ、という経営者も多いのではないでしょうか。銀行にはどういう書類を提出し、どんなことを審査されるのか、簡単にまとめてみました。
目次 |
1.銀行へ融資を相談する際にどんな準備が必要?
2.融資可否の結果がでるまではどれくらいかかる? 3.銀行における設備資金の審査ポイントは? 4.まとめ |
銀行へ融資の相談をする際には、以下のものを準備する必要があります。
①資金使途を確認できる書面(見積書など)
今回購入予定の設備の見積もりです。相談する段階で正式な見積書がなければ、仮のものでも問題ありません。しかし、最終的に融資を実行するまでに必ず金額を確認できる資料の提出を求められます。また融資実行後には、銀行は必ず資金の流れを確認(追跡)します。融資金が設備購入資金に充てられたかどうか、領収書などの確認資料の提出も求められますので、必要額以上の資金は借入できません(多めに調達して運転資金に流用した場合、後でトラブルになり、今後の銀行取引にも影響することになるので絶対にしないようにしてください)。もし、設備資金と同時に増加運転資金が必要な場合は、別途「運転資金」として借入の相談をするようにしましょう。
②返済計画書
いわゆる事業計画です。設備投資により、今後の損益の状況がどのようになるのか、そしてその結果、借入金を期間内に返済できるのかどうかを、数字で示す必要があります。銀行は提出された計画書を鵜呑みにすることは100%ありません。細かく妥当性を検証しますので、夢物語を描いても審査は通りません。過去の損益などの実績を踏まえ、実現可能性の高い計画書の作成が必要となります。
③その他
金融機関により多少の違いがありますが、直近の決算書(最低でも3期分)など会社の財務状況を説明できる資料などを求められます。
結論から言うと、ケースバイケースです。1週間の場合もあれば、2週間以上ということもあります。融資の申し込みから、融資可否の結果が出るまでの期間は案件により一定ではないのです。
金融機関によって違いはありますが、支店長の権限で決裁可能な場合もあれば、本部の審査部門に稟申が必要な場合もあります(借入金額や会社の信用力などで決裁権限者が変わる仕組みです)。本部決裁が必要な案件は、可否判断までの間に支店長決裁案件よりも多くの銀行関係者を経由しますので、それだけ多くの時間を要することになります。
決裁権限の違いだけではなく、担当者の力量や時期・季節的な要因などによっても差が生じることもあるでしょう。必要なことは、担当者と日ごろから情報交換をして会社のことをよく知ってもらうこと、そして担当者への十分な説明により設備投資への理解を深めてもらうことです。
時間を費やしても、否決となることもあります。時間に相応の余裕をもって融資の申し込みすることをおすすめします。
①投資の妥当性
その投資が本当に必要なものであるかどうか、設備投資によりどのような効果が見込まれるか、ということは銀行も必ず確かめます。例えば売上増加、コストダウンなどですが、具体的にどの数字がどのように変わるかということは事細かく事業計画で確認していくことになります。
②融資条件の妥当性
融資条件とは、借入の金額、期間、調達先などです。
金額 | 投資金額が過大じゃないか(身の丈に合った投資かどうか)購入価格が相場と比較して妥当な価格か など |
期間 | 長くても10年程度、法定耐用年数の範囲が目安 |
調達先 | メインバンクからの調達か、違う場合はなぜメインバンクではないのか |
③事業計画の妥当性
先にも述べた通り、過去の損益状況をもとに設備投資後の損益予想などを細かく検証します。返済の原資となる利益がどの程度確保できるのか、などがポイントとなってきます。
④会社の財務内容、返済余力、その他定性面
今回の設備投資に係る返済については問題がなくても、会社の財務状況、既存の借入金の内容、会社全体としての債務償還能力に問題がないか、万が一計画通りにいかなかった場合の補てん余力があるかどうか、などをチェックします。
設備資金調達のため借入を検討する際には、①「設備投資が自社にとって有益(欠かせないもの)」であり、②「借入金の返済能力に懸念がない」こと、この2点を数字で説明できることが何より重要となります。
丸田 佐和子(中小企業診断士)
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