春も近づき、補助金申請の季節となりました。補正予算の成立を受けて、いよいよ動き出します。設備投資にも有効なものづくり補助金、準備はできていますか?これまで申請の経歴のない会社にも十分採択の可能性はあります。補助金を活用して、経営を強固なものにしてみませんか?
目次 |
1.いまさら聞けない「ものづくり補助金」とは?
2.一般型の補助率を高める2つの要件とは? 3.補助金申請の採択に有利となる「経営革新計画」とは? 4.先端設備等導入計画との合わせ技で補助率UP 5.まとめ |
設備投資に関する補助金として、よく知られている「ものづくり補助金(もの補助)」とは?正しくは、「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」のことを指します。平成24年度補正予算から、ものづくり中小企業・小規模事業者が実施する試作品の開発や設備投資などを支援する補助金として始まりました。ものづくり中小企業・小規模事業者の競争力強化を支援し、経済活性化の実現を目指す補助金です。
「ものづくり補助金」は、3類型ありますが、ここでは、一社で申請ができる①一般型と②小規模型について説明します。いずれも中小企業・小規模事業者が行う革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援することを目的にしています。また、②については、設備投資を伴わない試作開発も含まれます。
①一般形 補助金の上限:1000万円 補助率1/2
②補助金上限:500万円 補助率1/2(小規模事業者※ 補助率2/3)
※小規模事業者とは、商業・サービス業の従業員5人以下および製造業その他従業員20人以下の事業者を表します。
前回は、ものづくり補助金はすべて補助率が2/3でしたが、今回は基本が1/2となり、補助予定件数を1万件と見込んでいます。前回の採択件数が6,157件であったことからも、国も広く薄く対応していく姿勢がうかがえます。また、次の2点のような補助率を上げる方法も残されています。いずれも高い補助率で設備投資をしたい企業にとっては確保すべき要件です。
- 平成30年通常国会に提出が予定される平成30年通常国会提出予定の生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)に基づき、固定資産税ゼロの特例を措置した地方自治体において補助事業を実施する事業者が、先端設備等導入計画(仮称)の認定を取得した場合
- 3~5年で、「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1%に加え、「従業員一人当たり付加価値額」(=「労働生産性」)年率3%を向上する中小企業等経営強化法に基づく経営革新計画を、平成29年12月22日の閣議決定後に新たに申請し承認を受けた場合
これらを選択することにより、補助率を2/3とすることができます。ものづくり補助金事務局の公募書類には「優先採択」の文言があり、①についても経営革新計画による加点を示唆しているものと思われます。また、今回から、中小企業診断士はじめ、専門家派遣に要する費用も上限30万円が認められることとなりました。こうした項目もぜひ活用したいものです。
中小企業等経営強化法第2条第7項において、経営革新とは、「事業者が新事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ること」と定義されています。
新商品や新役務の開発または生産・提供や、商品の新たな生産または販売方式の導入や、役務の新たな提供の方式の導入その他新たな事業活動を「新事業活動」としています。具体的な事例としては、美容室が出張サービスを開始する、食品加工業者が新しい品質管理システムであるHACCP(危害分析重要管理点分析)対応の新工場を建設する、不動産業者が借り上げた社員寮を高齢者向けに改装して高級賃貸高齢者住宅として賃貸するなどです。
個々の中小企業者にとって、「新たな事業活動」であれば、既に他社で採用されている技術・方式でも原則として承認の対象になります。
申請内容にある「経営の相当程度の向上」とは、どの様なものでしょうか?
それは、①付加価値額(営業利益+人権費+減価償却費)もしくは一人当たりの付加価値額(付加価値額÷従業員数)の伸び率 ②経常利益(営業利益-営業外費用)の伸び率が、例えば5年計画の場合、①が15%以上②が5%以上になる計画が求められます。これらを所定の様式に記入し、都道府県の承認を得て、最終的に採択されることで補助金助成率のアップが見込まれます。この他にも固定資産税の減免措置や融資の際の金利優遇などがあり、中小企業にとって利用すべき施策の一つと言えるでしょう。
補助金をよく理解して設備投資を有利に進めましょう。コンサルティングビジネス研究会では、こうした申請についての各種サポートも行っております。お気軽にご相談ください。
屋代 勝幸(中小企業診断士)
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