国や自治体等が実施する様々な補助金のなかでも、広告宣伝や機械設備等の幅広い経費が対象になり、利用しやすいのが「小規模事業者持続化補助金」です。
特別枠の要件に該当する場合は上限額がアップするため、比較的規模の大きい取組みにも活用できます。
今回は、小規模事業者持続化補助金についてご説明していきます。
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目次 |
1.小規模事業者持続化補助金とは 2.小規模事業者持続化補助金の概要 3.申請における注意事項 4. まとめ |
小規模事業者等(※)が取り組む販路開拓等の経費の一部を補助する制度です。
新規顧客獲得や広告宣伝等、販路開拓に必要な経費に幅広く使えるのが特徴です。
(※) 小規模事業者の要件は、2.(1)をご参照ください
例えば、このようなニーズが対象となります。
・商品・サービスをインターネットで販売したい
・新規顧客獲得のため、チラシを作成して近隣にポスティングしたい
・ファミリーが来店しやすいよう、キッズルームを設置したい
・メニュー開発・販売のため、新たに厨房設備を導入したい
(1)対象者
従業員数が一定以下(※)の法人・個人事業主・特定非営利活動法人が対象となります。
(※) 商業・サービス業は5人以下、製造業や他の業種は20人以下
ただし、医師・歯科医師・宗教法人・社会福祉法人等は対象外です。
(2)補助対象経費
販路開拓等の取組み、あるいは併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組みに必要な経費が対象となります。
具体的には、以下を参照ください。
経費項目 | 利用例 |
機械装置費 | 高齢者向け椅子・ベビーチェア、新商品陳列用の棚、 厨房用のオーブン・冷凍冷蔵庫 |
広報費 | 新サービスを紹介するチラシの作成・配布、看板の設置 |
ウェブサイト関連費 | ウェブサイトやECサイトの制作、インターネット広告、 労務管理ソフトや会計ソフトの導入 |
展示会等出展費 | 展示会・商談会への出展 |
旅費 | 展示会出展のための往復航空券や宿泊 |
資料購入費 | 事業計画に関連する資料・図書の購入 |
借料 | 機器・設備等のリース・レンタル |
委託・外注費 | デザインの外注、店舗改装 (自社では実施困難な業務を第三者に依頼する費用) |
これらの経費は、策定する事業計画に基づいている必要があります。
また、パソコン・自動車等の汎用品や会社自体の宣伝等は、補助の対象外であることに注意が必要です。
なお、ウェブサイト関連費は、補助金の4分の1(最大50万円)が上限で、さらにウェブサイト関連費のみでの申請はできません。
(3)補助率・補助上限額
一般的には通常枠で申請することになり、補助上限額は50万円(補助率3分の2)です。
例えば、75万円(税抜)の経費のうち、50万円の補助金を受け取ることができます。
さらに、以下の要件に該当すると補助上限額がアップします。
①特別枠
以下の特別枠で申請する場合は、補助上限額200万円(補助率3分の2、賃金引上げ枠の赤字事業者は4分の3)となります。
類型 | 主な要件 |
賃金引上げ枠 | 補助事業の終了時点で、事業場内の最低賃金を都道府県別最低賃金より+50円以上とすること。すでに達成している場合は、現在支給している事業場内最低賃金より+50円以上とすること。
※詳細はこちらでもご紹介しております |
卒業枠 | 補助事業の終了時点で従業員数が一定数以上であること(商業・サービス業は6人以上、その他は21人以上)。 |
後継者支援枠 | 将来的に事業承継を行う予定があり、新たな取組みを行う後継者候補として、「アトツギ甲子園」(※)のファイナリスト等になっていること。
※中小企業の後継者が新規事業アイデアを競うイベント https://www.meti.go.jp/press/2023/07/20230720001/20230720001.html |
創業枠 | 認定市区町村等の「特定創業支援等事業」での支援を受けた日および開業日(設立年月日)が、公募締切時から起算して過去3か年の間であること。
※詳細はこちらでもご紹介しております。 |
②インボイス特例
2021年9月30日から2023年9月30日までの2年間に属する課税期間で一度でも免税事業者であった場合や、2023年10月1日以降に創業した事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録を受けた場合は、補助上限額が一律50万円上乗せされます。
例えば、通常枠での申請であれば補助上限額が100万円に、賃金引上げ枠での申請であれば補助上限額が250万円になります。
上記のように、様々な経費に利用できる補助金ではありますが、以下の点に注意が必要です。
・取組期間が限定されている
補助対象経費の発注・支払等は、定められた期間内に行う必要があります。
例えば、第15回公募の場合、申請締切は3月14日でしたが、実際に発注できるのは、6月5日の採択発表または交付決定がなされた後です。
さらに、実施期限である10月31日までに納品・支払等をすべて完了させる必要があります。
そのため、すぐに発注や購入をしたい場合には利用できません。
・補助金は後払いである
補助金を受け取ることができるのは、発注・契約や支払の完了後、証拠書類や実績報告書を提出し、検査を受けた後になります。
つまり、事業者にとって前払いが発生しますので、資金の全額を事前に確保しておく必要があります。
・申請前に商工会議所・商工会の確認を受ける必要がある
申請前に最寄りの商工会議所・商工会に事業計画を見せて、事業支援計画書を発行してもらう必要があります。
発行するための受付は、公募締切の約1週間前までとなります。そのため、事業計画書を早めに仕上げる必要があります。
・申請は電子申請のみである
本補助金の申請は、電子申請システム(Jグランツ)のみとなります。
システムを利用するにはGビズIDプライムのアカウントが必要で、そのアカウントの取得には数週間かかる場合もあります。
お持ちでない場合は、早めに取得手続きをする必要があります。
今回は、小規模事業者持続化補助金の概要や注意事項等をご説明しました。
申請するには、どのような取組みで、何の経費を利用するかの検討が必要であり、早めに準備を始めることがお薦めです。
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申請を検討している事業者様は、ぜひ当会までご相談ください。
那須 美紗子(中小企業診断士)