小売業者にメリットのある中小企業支援施策の通行手形

生産年齢人口の著しい減少の中、全ての業種における生産性向上が叫ばれています。そこでここでは、「経営力向上計画」(中小企業支援施策の通行手形)認定取得プロセスを通して生産性向上を目指すアプローチを、小売業にフォーカスしてご紹介したいと思います。

小売業者にメリットのある中小企業支援施策の通行手形

目次
1.中小企業支援施策の通行手形

2.小売業における生産性向上に向けた取り組みの方向性

3.「経営力向上計画」認定取得の本質的なメリット

4.まとめ

1.中小企業支援施策の通行手形

日本の成長戦略を議論する「日本経済再生本部」公表の「日本再興戦略改訂2015 *1)」の中で、「サービス産業の労働生産性の伸び率を、2020年までに2.0%とすることを目指す」ことが国の方針として示されました。ここ数年の間に、この労働生産性に関するKPI(政府目標)達成を軸とした施策群が、中小企業支援施策として包括的に整備されてきたと捉えることができます。

中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」は、中小企業の労働生産性向上を目的とした施策群の一つであり、「経営力向上計画」の認定取得が、その他の中小企業支援施策を受けるための通行手形のような役割を今後担っていくものとみられます。

日本経済再生本部の下部組織である「未来投資会議構造改革徹底推進会合」(中小企業・観光・スポーツ・文化等)の第1回会合で、経済産業省から提出された資料「中小企業・小規模事業者の生産性向上 *2)」の中では、生産性向上のための取組として5つの項目が示されており、その一番目が「経営強化法に係るこれまでの取組と課題」となっています。「経営力向上計画」の認定を通して、中小企業の生産性向上を支援していこうとする思惑が見えてきます。

では次に、この「経営力向上計画」の認定を受けるために、小売業者がどのような計画を策定すればよいのか見ていきたいと思います。

2.小売業における生産性向上に向けた取り組みの方向性

「経営力向上計画」の認定を受けるためには、「経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標」や「経営力向上の内容」といった、経営力向上の実現に向けた実施計画を策定し、策定した計画を認定申請書に記載する必要があります。

小売業における「経営の向上の程度を示す指標」としては『労働生産性』を、「経営力向上の内容」としては、事業分野ごとに生産性向上(経営力向上)の方法等を示した事業分野別指針を参考にして、自社の経営状況を踏まえた実施事項を記載することになります。小売業における、事業分野別指針(実施事項例)としては、図のような項目の一覧が示されています。

ここで、「経営力向上計画」における労働生産性の計算式と実施事項の関係について確認しておきたいと思います。
「中小企業等の経営強化に関する基本方針」では労働生産性が次のように定義されています。

労働生産性=(営業利益+人件費+減価償却費)/労働投入量(労働者数又は労働者数×一人当たり年間就業時間)

 

各取り組み(実施事項)は労働生産性を向上させる変数と結びついており、例えば、「経営状態の把握」を通じた営業利益の増加、「営業活動の強化」を通じた営業利益の増加、「仕入活動及び経費管理に関するIT及び設備の利用」を通じた営業利益の増加、減価償却費の増加、一人当たり年間就業時間の短縮、「人材育成の強化」を通じた従業員のスキル向上に伴う営業利益の増加、処遇改善、といった効果が期待されます。加えて、複数の取り組みを実施することで、各取り組みが有機的に結びつき、労働生産性の向上効果をより高めることになってきます。

小売業の実施事項例(規模別の整理)

出所:事業分野別指針の概要(中小企業庁)

3.「経営力向上計画」認定取得の本質的なメリット

「経営力向上計画」認定取得による直接的なメリットとしては、固定資産税の軽減措置や各種金融支援の他に、中小企業支援施策の採択審査における優遇(例えば、平成29年に公募されたIT導入補助金 *3)など)があります。しかしながら、本質的なメリットは、「経営力向上計画」の策定及び申請プロセスを通して、経営者が、経営環境の変化に対して向き合い、自社の経営力向上に対して意識を向けるきっかけになる点にある、と捉えることができます。

実施事項例で示される項目は、「個別の事業分野に知見のある者から意見を聴きつつ、経営力向上に係る優良事例を事業分野別指針に反映 *2)」したものであり、これらの項目を参考にして自社の取り組みの方向性を絞り込むことは、経営環境の変化を踏まえて課題を選択していることを意味します。従って、策定した「経営力向上計画」に基づく各取り組みの実施は、生産性向上活動の実効性を高めることになってくると言えます。

まとめ

計画の鍵となる、経営力向上の目標、指標、内容を検討するためには、事業、財務、組織といった経営資源を、包括的に捉えて現状を把握する必要があり、経営者お一人の力では難しいケースもあると考えられます。経営に関する専門家の力も使いながら、施策を上手に活用して生産性の向上を目指してみてはいかがでしょうか?

執筆者

コンサルティング・ビジネス研究会 執筆チーム(中小企業診断士)

 

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