本コラムでは、令和8年度に公募される厚生労働省系の主な助成金をご紹介します。
厚生労働省系とは、雇用や待遇改善に関する助成金です。
助成金は毎年少しずつ内容が変わります。
申請をご検討中の事業者様は、是非ご確認ください。

| 目次 |
| 1.補助金と助成金の違い
2.キャリアアップ助成金(正社員化コース) 3.業務改善助成金 4.人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース) 5.65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース) 6.まとめ |
助成金は厚生労働省が、補助金は経済産業省が管轄しています。
両者の最も大きな違いは、助成金が要件を満たせば原則受給できる一方で、補助金は書類審査等を通過しなければ受給できません。
以下、主な助成金についてご説明します。
(1) 活用シーン
| 長年、アルバイトとして頑張ってくれたスタッフをそろそろ正社員にしてあげたい |
キャリアアップ助成金は、そんな事業主の方にお薦めです。
有期雇用のアルバイト等を正社員化(無期雇用・賃金3%以上アップ)することで、1名当たり最大80万円が支給される制度です。
(2) 助成額
| 重点支援対象者(※1) | それ以外 | |
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有期契約→正社員 |
80万円 |
40万円 |
|
有期契約→正社員 |
60万円 |
30万円 |
|
無期契約→正社員 |
40万円 |
20万円 |
(※1) 以下のいずれかに該当する者
-
- 雇入れから3年以上の有期雇用労働者
- 派遣労働者
- 母子(父子)家庭の親
- 雇入れ3年未満で、過去5年に正社員歴1年以下、且つ直近1年以内に正社員歴なし
(3) 変更点
自社ホームページで正社員転換の実績等を公表した場合に、20万円が加算される「有期契約労働者等の情報公表加算」が新設されます。
(4) 注意点
- 転換日の前日までに、キャリアアップ計画をハローワークへ提出
- 通算5年超の有期雇用者は「無期雇用」と扱われる(助成額に注意)
- 賞与・退職金・昇給のある正規雇用への転換が要件
(1) 活用シーン
| 毎年、秋に最低賃金が上がるのは分かっている
賃上げをするから、設備投資を助成してほしい |
業務改善助成金は、最低賃金を引き上げ、生産性向上につながる設備の購入費用の一部が助成される制度です。
(2) 助成額・助成率
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コース |
賃上げ額 |
助成上限額(10人以上) |
助成率 |
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50円コース |
50円/時間 |
最大130万円 |
4分の3〜5分の4 |
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70円コース |
70円/時間 |
最大300万円 |
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90円コース |
90円/時間 |
最大600万円 |
(3) 変更点
① 対象事業所の拡大
- 令和7年:事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内
- 令和8年:事業場内最低賃金が令和8年度地域別最低賃金未満
② 助成率5分の4の要件緩和
- 令和7年:事業場内最低賃金が1,000円未満
- 令和8年:事業場内最低賃金が1,050円未満
③ 30円コースの廃止
- 令和7年:4コース(30円・45円・60円・90円)
- 令和8年:3コース(45円・60円・90円)
④ 公募期間の短期化
令和8年9月1日から、地域別最低賃金発効日の前日(又は11月末)までの短期募集です。
尚、申請件数が想定を超えた場合は、公募が早期に打ち切られる可能性もあります。
(4) 注意点
公募期間が短いため申請する場合は、事前に以下の準備を進めましょう。
- 賃金台帳・雇用契約書・労働条件通知書の整備
- 購入予定の設備の見積書を複数社から取得
(1) 活用シーン
| 外国人スタッフを会社に定着させたい |
人材確保等支援助成金は、外国人労働者の定着につながる制度を整備する際に利用できる制度です。
(2) 助成額
1制度の整備毎に20万円、最大4制度で80万円が支給されます。
(3) 必要な取り組み
《必須》
a.雇用労務責任者の選任(年1回以上の面談を含む)
b.就業規則等の多言語化(やさしい日本語でも可)
《1つ以上を選択》
c.母国語等での苦情・相談体制の整備
d.一時帰国のための休暇制度の整備(年1回5日以上の有給)
e.社内マニュアル・標識類の多言語化(動画を含む)
(4) 変更点
就業規則等の難しい言葉を「やさしい日本語」で言い換えた場合でも、申請要件を満たせるようになりました。
(5) 注意点
- 外国人労働者は雇用保険被保険者であること
- 技能実習生も対象
(1) 活用シーン
| 元気な60代のベテラン社員を、長く雇用したい |
66歳以上の継続雇用制度の他に、定年の延長・廃止等の制度を新たに導入した場合に活用できる制度です。
(2) 助成額(定年の廃止の場合)
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対象被保険者数 |
1〜3人 |
4〜6人 |
7〜9人 |
10人以上 |
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助成額 |
60万円 |
120万円 |
180万円 |
240万円 |
(3) 必要な取り組み
以下は必須の取り組みです。
- 社会保険労務士等の専門家に就業規則の作成・相談の依頼
- 高年齢者雇用等推進者の選任
- 職業能力開発・作業改善・健康管理・勤務時間弾力化など1つ以上実施
助成金は要件を満たせば、原則受給できることが大きなメリットです。
ただし、事前の計画書提出や申請タイミング等には、注意が必要です。
当研究会には、助成金の支援実績が豊富な社会保険労務士等の専門家も在籍しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
コンサルティング・ビジネス研究会 中島 未宇人(中小企業診断士)

