6次産業化に取り組む農業者のための事業計画「総合化事業計画」

「6次産業化」とは、一次産業である農業者が、二次・三次産業に取り組む事業の多角化であり、農業とは事業の推進内容は全く異なります。今までとは異なる事業を軌道に乗せていくためには、事業計画を策定し、計画的な事業推進が効果的です。ここでは、6次産業化に取り組む農業者を対象とした「総合化事業計画」についてお話しします。

6次産業化に取り組む農業者

目次
1.6次産業化・地産地消法の概要

2.6次産業化認定事業計画(総合化事業計画)とは

3.総合化事業計画認定後の支援策

4.まとめ

1.6次産業化・地産地消法の概要

6次産業化・地産地消法とは、

地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等を促進するため、農林漁業者及びその組織する団体(これらの者が主たる構成員又は出資者となっている法人を含む。)が主体的に行う新事業の創出等の取組に対して支援を行う法律です。

6次産業化とは、

「一次産業としての農林漁業と、二次産業としての製造業、三次産業としての小売業等の事業との総合的かつ一体的な推進を図り、地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取組」

であることが六次産業化・地産地消法の前文に記載されています。

一次産業である農業者が、二次・三次産業に取り組んでいく総合化とは、すなわち、事業の多角化に取り組むということにほかなりません。今までの事業とは全く異なる事業の推進をすることになるのですから、計画策定は必須と言えます。これについては、農林水産大臣は農林漁業経営の改善を図るために、

農林漁業者等が行う総合化事業について計画の認定を行い、各種法律の特例の対象としています。補助金や農林漁業成長産業化ファンドによる出資等を措置し、農林漁業者等に対する6次産業化プランナーの派遣や食料産業・6次産業化交付金、農林漁業成長産業化ファンド等により、新商品開発や加工・販売施設等の整備等の支援メニューを用意しています。

2.6次産業化認定事業計画(総合化事業計画)とは
総合化事業計画の申請は、農業者であれば、個人・法人は問われません。総合化事業とは、以下の①~③のいずれかに該当するものと規定されています。
① 自らの生産に係る農林水産物等をその不可欠な原材料として用いて行う新商品開発、生産又は需要の開拓
② 自らの生産に係る農林水産物等について行う新たな販売の方式の導入又は販売の方式の改善
③ 上記①、②を行うために必要な生産の方式の改善
なお、「生産の方式の改善」とは、農林漁業者等が行う新商品の開発や新たな販売方式の導入等の取組に必要な農業用施設の取得、新規の作物や家畜の導入、地域の土地、水その他の資源を活かした新たな生産方式の導入等のことをいいます。
また、農林漁業の経営改善に関して、次の2つの指標の全てが満たされることが認定要件とされています。
・農林水産物等及び新商品の売上高が5年間で5%以上増加すること
・農林漁業及び関連事業の所得が、事業開始時から終了時までに向上し、終了年度は黒字となること
農林漁業者が上記①②③のいずれかの総合化計画を立てるとき、この2つの要件を全て満たすことが必要になります。計画は、地方農政局に提出して(随時受付)、第三者委員会での審査を経て、提出後約1~3ヶ月で認定の可否がでます。
3.総合化事業計画認定後の支援策

以下の措置がなされています。

○各種法律の特例措置

・農業改良資金融通法等の特例(償還期限及び据置期間の延長等)
・野菜生産出荷安定法の特例(指定野菜のリレー出荷による契約販売に対する交付金の交付)等

○食料産業・6次産業化交付金のうち「加工・直売」

・新商品開発、販路開拓等に対する補助
・新たな加工・販売等へ取り組む場合に必要な施設整備に対する補助

○6次産業化プランナーの派遣

中央・都道府県段階に6次産業化プランナーを配置し、6次産業化に取り組む農林漁業者等に対して新商品の販路開拓や加工技術の習得等に関するアドバイスを実施

○農林漁業成長産業化ファンド

・農林漁業者等が主体となって、流通・加工業者等と連携して取り組む6次産業化の事業活動に対し、出資等を実施。

まとめ

 平成23年の第1回認定以降、総合化事業計画の認定件数は、

約2,400件(平成30年7月31日現在)。農林水産省の調査によると、認定事業者の6次産業化関連の売上高は、申請時から2年間の取組で24%、3年間で57%、4年間で65%、5年間で60%

とそれぞれ申請時から増加している結果がでています。一次産業から二・三次産業へ事業を拡大し、成長発展していく意欲ある農業者の方は、ぜひ計画認定へチャレンジをしてはいかがでしょうか。

執筆者

コンサルティング・ビジネス研究会 執筆チーム(中小企業診断士)

 



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