新たな事業に挑戦する事業者必見!新事業進出補助金

現在、中小企業新事業進出促進補助金(以下、新事業進出補助金)の第3回公募が始まっています。本補助金は、事業再構築補助金の後継として昨年4月にスタートし、既存事業とは異なる「新事業」への挑戦を通じて会社の成長と継続的な賃上げを目指す事業者を支援する制度です。今回は、第3回公募の補助金額・対象経費等の基本情報に加え、公募要領から読み解いた「採択を勝ち取るためのポイント」についても解説します。

目次
1.新事業進出補助金とは

.採択を勝ち取るための3つのポイント

.まとめ:審査員が評価するのは「本気度」と「実現可能性」

1.新事業進出補助金とは

中小企業等が「新市場進出」や「高付加価値化」を目指す新たな事業に取り組む際の、その設備投資等の資金の補助を受けられる制度です。物価高や人手不足などの厳しい経営環境下でも、前向きな挑戦を行う企業を強力にバックアップします。

①補助上限額と補助率

本補助金の上限額は、従業員の人数によって異なります。

項目 内容
補助上限額 従業員数 20人以下 2,500万円(3,000万円 ※)          従業員数 21~50人 4,000万円(5,000万円 ※)
従業員数 51~100人  5,500万円(7,000万円 ※)
従業員数 101人以上   7,000万円(9,000万円 ※)
補助下限額 750万円
補助率 2分の1

※上記()内の金額は大幅賃上げ特例適用後の上限額

⇒大幅賃上げ特例適用事業者の要件

事業終了時点で①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+6%を達成

②補助対象経費と補助事業の実施期間

本補助金は、建物の建設・改修費も対象となるのが大きな特徴です。

項目 内容
補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、

専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、

外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費

補助事業期間 交付決定日から14か月以内

(ただし採択発表日から16か月以内)

2.採択を勝ち取るための3つのポイント

「新事業」の定義は意外とシビア!「新規性」の落とし穴も

本補助金で最も重要なのは、新たな取り組みが「新事業」として認められるかどうかです。単に「新しい商品を作ります」だけでは不十分で、以下2つの「新規性」を同時に満たす必要があります。

製品等の新規性(新しいモノもしくはサービスであるか?)

過去に製造・提供した実績がないことはもちろんですが、「既存製品の製造量を増やすだけ」「単なるサイズ違い」「既存製品の製造方法を変えるだけ」などは対象外となる可能性が高いです。定量的に性能が異なる、あるいは全く異なる製品であることが求められます。

◆市場の新規性(新しいお客様なのか?)

「既存製品と同じ顧客層」に新たな製品・サービスを売るだけでは、「需要が食い合うだけ(代替)」とみなされ、認められないケースがあります。「これまで対象としていなかった顧客層(業種・属性・行動特性)」をターゲットにすることが必須です。

②見落とし厳禁!「専ら(もっぱら)使用」という制約

実務上、最も注意が必要なのは「取得財産の目的外使用の禁止」です。本補助金で購入した機械や建物は、原則として「専ら補助事業(新事業)のみに使用すること」 が求められます。例えば、「新事業のために導入した設備を、空いている時間に既存事業の製造用にも使いたい」ということは、原則として認められません。もし既存事業と共用した場合は、補助金の返還(目的外使用)を求められるリスクがあります。計画段階から、「新事業専用のライン/設備」として完全に切り分けられるかどうかを検討しておく必要があります。

③「賃上げ」は努力目標ではない!未達成時の「返還リスク」

昨今の補助金の特徴として、強力な「賃上げ要件」があります。これは「目標に向けて頑張ります」という努力目標ではなく、「必達目標(コミットメント)」です。補助事業終了後の3~5年間で、以下の目標を達成する必要があります。

・事業場内最低賃金を「地域別最低賃金より+30円以上」の水準にする

・給与支給総額等を年率平均で一定以上増加させる

未達成の場合は、「補助金額の一部返還」を求められる規定があります。

※付加価値額が増加せず、かつ赤字の場合などの免除規定はありますが、原則は返還を求められる。

「補助金を貰えるから賃上げする」のではなく、「賃上げしても十分に利益が出る高付加価値なビジネスモデル」 を描けるかどうかが、書類審査の是非を分けるポイントとなります

3.   まとめ:審査員が評価するのは「本気度」と「実現可能性」

本補助金が採択されるためのポイントを整理します。

①「製品」と「市場」の両方で新規性を示せるか?

②設備を新事業専用として導入するのか?

③賃上げを実現できる収益性を確保できるか?

これらをクリアするためには、SWOT分析等による自社の強みの再定義や競合他社との差別化戦略、そして精緻な収益シミュレーションが不可欠です。第3回公募の締切は、令和8年3月26日(木)18:00です。大型補助金ゆえに、準備には相応の時間がかかります。新事業への挑戦を「絵に描いた餅」で終わらせないためにもお早めにご相談ください。

 

執筆者

コンサルティング・ビジネス研究会 中小企業診断士 辰巳太兵衛

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